【中学硬式】新潟西シニアが全国選抜大会に出場 18日に初戦

中学硬式野球の「第26回日本リトルシニア全国選抜大会」が17日、大阪府で開幕し、新潟県から新潟西シニアが出場する。昨秋の新潟ブロック新人大会で優勝し、その後の信越大会でも各地区の優勝チームに連勝して信越1位となり、全国選抜大会への出場切符を手にした。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月に開催予定だった大会は8月に延期となり、さらに期間も3日間に短縮され、新潟西シニアは勝ち上がっても2試合のみで大会が終えることになった。チームが目標としていた「日本一」は幻となったが、選手たちは「3年間の集大成となるよう全力で頑張りたい」と意気込んでいる。

初戦となる2回戦は18日(火)正午からの予定で、八王子シニア(関東連盟)と対戦する。

全国選抜大会に出場する新潟西シニア

新潟西シニアは昨秋の信越大会で打ち勝って1位となり、5年ぶり3回目の全国選抜大会出場を決めた。しかしコロナ禍で3月5日に選抜大会の中止が発表され、チーム練習時間も大幅に制限された。約2か月の練習自粛期間を余儀なくされた。渡部斡(はる)主将(15・坂井輪中3年)は「コロナ期間中はずっと目標がなかった」と話す。しかし、選抜大会の8月開催が決まり、「ようやく目標が定まった。大会を開いていただいたことに感謝したい」とチームとしての目標が決まった。

早川喜隆監督は「チームの特徴は打撃。振れる選手が揃っている。全国で勝つために冬場は投手力を鍛えた」と話す。チームの中心選手は三番打者の本間陵(15・分水中3年)。「こんな中学生はいない。監督生活12年間でナンバーワン」と早川監督は最大級の評価を与える。「フルスイングが特徴だが、打席ではボール球に手が出ない。我慢ができる選手」と話す。「秋は本間が打てるか打てないかが勝敗に影響してきたが、今は投手を含めそれ以外の選手でカバーできるようになってきた」とチームの状況は上向いている。

三番打者で捕手の本間陵(分水中3年) 本塁打を量産するパワーヒッター

本間は小学2年生で地元の軟式野球チームに入団。「太っていたので痩せるために」と入ったチームで打撃の才能が開花。小5で捕手を務め、小6の時にはNPBジュニアトーナメントの埼玉西武ライオンズジュニアの選抜メンバーに選ばれた。「憧れ」と話す山川穂高選手と同じユニフォームを着て、三番打者として全国の舞台で活躍した。

小学校卒業間近の春に新潟西シニアに入団し、中学入学前には神奈川県への遠征での練習試合で中学2年生の投手から初本塁打をマーク。以来、積み重ねてきたサク越えは約30本を数える。右打席からライト方向へも長打を打てるのが特徴で、173センチ、85キロの堂々とした体つきながら、100メートルを12秒台で走る俊足の持ち主。選抜大会を前に「本塁打だけでなく、捕手としてもチームを引っ張りたい」と意気込んでいる。

新潟西シニアではコロナの自粛期間あけに保護者が3年生選手を紹介する動画を作成し、YouTubeで公開した。撮影用カメラを最大6台設置。早川監督は「コロナでもう試合ができないと思っていたので、高校進学を考える選手の記録用にと思った」と話す。渡部主将は「動画作ってもらってありがたかった。モチベーションになった」と感謝する。(動画は下のメンバー欄で紹介)

その後、選抜大会の8月開催が決定。早川監督は「実戦経験も積むことができた。1人ひとりが成長の糧とできるよう、コロナの中でも個人が頑張ってきたことの証明をしてほしい」と選手の奮起に期待する。渡部主将は「最大で2試合しかできないが、3年間の集大成となるよう全力で頑張りたい。いろいろな影響で大阪に行けない仲間もいるので、勝っていい報告ができるようにしたい」と力を込める。


◎軟式から硬式に挑戦 十日町から通う選手◎

新潟西シニアには軟式野球出身で中3から入団した選手が在籍している。十日町市の水沢中3年・柳京四郎選手(14)で内野手と外野手を務める。コロナ期間中に知人に誘われて、新潟西シニアの自主練習に行ってみたところ、「硬式も面白い」と感じたという。学校再開後は平日は部活動で軟式、休日は硬式、と2つのボールを経験しながら技術を向上させてきた。中学の部活動も終わり、初めての全国大会に「緊張するが楽しみにしている」と笑顔をみせる。

早川喜隆監督(右)のティーを打つ柳京四郎(水沢中3年)

柳は水沢中の軟式野球部では主将で遊撃手や投手を務めてきた。コロナで休校期間中だった3月、「体を動かしたい」と知人に誘われて新潟西シニアの自主練習に行ってみたところ「硬式も面白い」と感じたという。

「初めて来た時はシニアの選手は取り組みが違うと感じた。最初は緊張してチームメイトとも話せなかった」と振り返る。しかし野手としてのセンスと「野球に取り組む姿勢がすばらしい」と感じた早川監督が練習試合でレギュラーとして抜てき。渡部主将も「プレーで引っ張ってくれている存在。みんなが刺激を受けている」とその実力をチームメイトが認めるようになった。俊足巧打が武器の柳は「硬式はバットが重いが、ボールが打ちやすい」と話す。硬式バットに慣れるため、十日町市の自宅では毎日30分から1時間、木製バットを振ってきた。

その後、中体連の大会は公式戦が中止となった。柳は休校明けは平日は部活動、土日は十日町市から片道約2時間の時間をかけて新潟市まで移動し、新潟西シニアのメンバーとして練習を続けてきた。水沢中の軟式野球部の活動は7月の十日町地区の交流戦で最後となった。8月に新潟西シニアの一員として正式登録。今回出場する選抜大会は自身が挑む初めての全国舞台となる。

「これまで県外のチームと戦う経験もあまりなかった。全国の舞台は初めてで、楽しみだが緊張する」と話す柳。「将来は甲子園に出たい」と夢見ている。夢への第一歩となる全国の舞台での活躍を誓っている。


◎新潟西シニアの選抜大会登録メンバー◎
※リンクは保護者作成の選手紹介動画
①金子恵介(西川中3年)https://www.youtube.com/watch?v=syqI9CPPzeY
②本間陵(分水中3年)https://www.youtube.com/watch?v=J52creHbfYY
③赤塚未来輝(潟東中3年)https://www.youtube.com/watch?v=uEMrAziZpyU
④佐藤春輝(巻東中3年)https://www.youtube.com/watch?v=uSvD8WwHHlc
⑤中島力(三条一中3年)https://www.youtube.com/watch?v=CK1QbOM2t3Q
⑥柳京四郎(水沢中3年)https://www.youtube.com/watch?v=pncRG80RZ2Q
⑦田中航(巻東中3年)https://www.youtube.com/watch?v=9Go14jF_u8A
⑧内山璃力(内野中2年)
⑨森山広太(分水中3年)https://www.youtube.com/watch?v=y1fpiOlB-p0
⑩渡部斡(坂井輪中3年)※主将 https://www.youtube.com/watch?v=vhwAgubqzyY
⑪樋口歩夢(大江山中3年)https://www.youtube.com/watch?v=_PbZUxTk8-o
⑫沼倉健太(赤塚中1年)
⑬鈴木健太(分水中3年)https://www.youtube.com/watch?v=M4-N84Puy6k
⑭笠原煌太(吉田中1年)
⑮秋山優呉(坂井輪中3年)https://www.youtube.com/watch?v=vTe23O6ZdQQ
⑯佐藤悠河(西川中3年)https://www.youtube.com/watch?v=f5sjsR_YsLE
⑰久保田優斗(巻東中3年)https://www.youtube.com/watch?v=k19SpJdynXg
⑱髙野巴哉(赤塚中2年)
⑲大谷悠人(巻西中2年)
⑳渡邊剛(赤塚中2年)
㉑岡島光大(岩室中1年)
㉒矢野晋大(吉田中2年)
㉓田中拓朗(巻東中2年)
㉔青木爽介(巻西中2年)
㉕村越陽(潟東中2年)

(取材・撮影・文/岡田浩人)