【高校野球】「3年生は野球の素晴らしさを伝える存在に」「秋季県大会は実施の方向」 新潟県高野連・中原専務理事に聞く

高校野球の独自大会である「新潟県高校夏季野球大会」と「新潟県高校軟式夏季野球大会」が8月6日までに閉幕した。新型コロナウイルスの感染拡大で甲子園大会など全国大会が中止となったことを受けて開催された初めての独自大会で、主催した新潟県高野連は部員や保護者を除いた無観客試合を実施し、感染防止策を講じながらの大会運営となった。

新潟県高野連の中原丈二専務理事がこのほど新潟野球ドットコムの取材に応じ、夏季大会について「県教育委員会をはじめ、選手、学校、保護者など多くの関係者の協力で大会を無事に終えることができた」と振り返り、「新しい運営の仕方の経験ができた」と感染症対策を含めた運営のあり方を今後にいかす考えを示した。また9月6日開幕予定の秋季県大会について「実施する方向」とし、観客については「有観客にするかどうかを含め検討している」と述べた。

新潟野球ドットコムの取材に応える新潟県高野連・中原丈二専務理事

<中原専務理事との一問一答>
Q夏の独自大会を振り返って
中原専務理事(以下中原)「一番は保護者の皆さんのご協力を得ることができ、無事に終えることができて感謝している。各球場の施設管理をしている自治体にも大会開催に対応していただき、ありがたかった。これまでは試合のない当番校がグラウンド整備などをしていたが、今大会は試合当日の選手に整備などの球場当番をしてもらうなど、できるだけ少人数での運営に協力してもらった。学校、保護者など多くの関係者、みんなの力で大会を運営でき、無事に終わらせることができた。そういう支えがあって選手たちにとって、いい大会ができたと思う」

Q大会実施を決めた時は感染者が減少していたが、7月以降全国で感染者が再び増え始め、無事に終えることができるかどうか心配された
中原「(感染者が再び増加し始めた後も)県とは逐一情報を共有しながら大会を進めていた。感染対策については各学校、保護者の協力が大きかった。スタンドの保護者の入れ替えもスムーズにできたと考えている」

Qウイルス終息に長期間かかると言われている中で、今後の大会運営の1つのやり方となった
中原「『ウィズコロナ』だけではない、新しい大会運営のやり方の1つになった。野球人口が減少している中で、我々も運営の仕方が従来のままではいけない時代がやってきていると認識している。今回の試合開催日は準決勝と決勝以外は全部土日祝日でできた。それも1つの勉強になった。無観客試合ということで一般の高校野球ファンの皆さんにご覧いただけなかったのが残念だったが、各メディアの協力も得ながら運営することができた。大会が終わった後、保護者の方から『やってもらってよかった』という声をいただき、やってよかった、お金に代えられない経験をできた、と感じた。何より選手たちが試合をできたということが一番大きい」

感染対策のため、試合後のチームが球場当番を行うなど最少人数での運営となった

Q今大会は「1週間で500球」という投手の球数制限や、準決勝と決勝の間に「休養日」が設けられるなど、初めて実施することもあった
中原「球数制限については、各チームがいろいろな投手を起用していた。本県高野連が球数制限を提案した際の目的の1つでる『複数投手の育成』の意識が各校でできていたのではないか。準決勝と決勝の間の休養日については1週間の球数制限のことを考えると今後も必要だと考える。土日を中心に実施する日程の関係で4回戦と準々決勝が連戦になってしまったが、今年に関してはやむを得なかったと考えている」

Q大会には「Good gameをみんなの手で!」という独自スローガンを掲げた
中原「試合前のトスの時に何試合か立ち会ったが、『いい試合をしよう』『野球を楽しもう』と声掛けをすると、主将から『わかっています』という返答があり、主将からチームの各選手への伝達もしっかりできていた」

Q大会を終えた3年生にはどんな言葉をかけたい?
中原「新しいステージに向けて、しっかりと学校生活を送ってほしい。その中でも野球を好きでいてほしい。いつか親になった時に子どもとキャッチボールをしたり、地域に還元したり、という形で、新潟県で高校野球をやったということを誇りにして、野球の素晴らしさを伝える存在になってくれたらうれしい」

4回戦の中越×加茂暁星
試合終了時も選手同士はホームベースを挟んで健闘を称え合った

Q9月6日からは秋季県大会が開幕する予定で9月1日には抽選会も予定されている。現時点での大会の可否は?
中原「実施する方向で関係機関と調整している。(観客については)有観客にするかどうかを含め検討している。夏に独自大会を運営したノウハウをいかしながら実施したいと考えている」

Q例年、シード校を決める一次予選が今年は開催できなかった。トーナメントの方式などはどうなるのか?
中原「トーナメント方式をどうするかは、現在検討している。ただ、夏のような4地区に分けるということは考えていない。夏は移動距離を最小限にと考えて4地区にした。今、県内での移動について大きな制限がなく、北支部・南支部の中での移動は許容範囲と考えている。秋季県大会については例年の南北支部に分かれたトーナメントをベースに考えている。今回はシード校はなしでフリー抽選になる予定」

Q選抜甲子園の出場校選考の参考となる北信越大会は10月10日から富山県での開催予定
中原「県外へ移動しての合宿や練習試合は自粛で、県外で開催される大会についてはその都度協議するという形に8月末まではなっている。(北信越大会が開催される)10月の段階で感染状況がどうなっているかによると思う。今夏は感染症対策と併せ、熱中症、落雷などに注意するよう部員の安全や健康確保に努めるよう加盟校に呼びかけている。1、2年生には与えられた環境の中で大好きな野球に取り組んでもらいたい。大会に関しては我々大人がどういう形で選手のためにできるかを検討しながら進めていきたい」

(取材・撮影・文/岡田浩人)