新潟アルビレックスBCを昨季限りで退団した柏崎市出身の前川哲投手(24歳・新潟産大附高)が、兵庫県の社会人野球の強豪チーム・日本製鉄広畑でプレーを続けることが2日までに決まった。前川はサイドスローから最速156キロの直球を投げ込む剛腕で、昨季は抑えとして11セーブを挙げ、ルートインBCリーグの中地区セーブ王に輝いた。10月のNPB(日本野球機構)ドラフト会議で指名が期待されたが、惜しくも指名漏れとなった。社会人野球という新たなステージで再スタートを切ることになった前川は新潟野球ドットコムの取材に対し「新たな気持ちでチームに貢献し、可能性がある限り、上(NPB)を目指したい」と決意を語った。
日本製鉄広畑入りが決まった前川哲
日本製鉄広畑は兵庫県姫路市に本拠地を置く社会人硬式野球チームで、1939年創部の伝統ある野球部。1968年と71年の2度、都市対抗野球大会で全国優勝を果たしている。激戦の近畿地区にあって全国大会出場の常連で、広島カープの選手だった正田耕三氏などこれまでに数多くのプロ野球選手も輩出している。一昨年の19年には都市対抗野球大会出場を果たしている。
去年10月のNPBドラフト会議で指名漏れとなった前川は「(指名の)手応えがあったので、指名がなかった瞬間は頭が真っ白になった」と振り返る。昨季限りで6年間在籍した新潟アルビレックスBCを退団する気持ちを固めていた前川は「野球をやめることも考えた」という。しかし、ドラフトの直後から日本製鉄広畑の関係者から熱心な誘いを受け、気持ちが揺れ動いた。
その後、兵庫県でチームの練習を見学した前川は「レベルの高さに驚いた」と話す。「いろいろな人と相談する中で、最終的には家族から『チャンスがあるなら続けた方がいい』と言われ、社会人でプレーすることを決意した」と気持ちが固まった。
長岡市の室内練習場で汗を流す前川(去年12月)
去年12月には長岡市で自主トレーニングを始め、新潟アルビレックスBCの元チームメイトたちと一緒に汗を流す前川の姿があった。「ドラフト後に体が痩せてしまったので、元に戻しているところ」と笑顔を見せ、「さらに成長したところを見ていただきたいのでこれからも頑張りたい」と現役続行の意思を示していた。
先月、兵庫県入りしチームに合流。2月1日からは関連会社の社員として働き始め、正式に社会人野球の舞台に立つことが決まった。「新たな気持ちでチームに貢献したい。まずは新人として競争に打ち勝ちたい」と決意を語った前川。都市対抗、日本選手権という全国の舞台で活躍すれば再びドラフト戦線に浮上してくる可能性はある。「可能性がある限り、上(NPB)を目指したい。サイドスローとして完成度を高め、即戦力の投手としてドラフト指名されるように頑張りたい」。越後の剛腕サイドが関西の地で再スタートを切った。
(取材・撮影・文/岡田浩人)