夏の甲子園出場を懸けた「第103回全国高校野球選手権・新潟大会」は25日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで準決勝2試合が行われ、新潟産大附と日本文理が決勝進出を果たした。新潟産大附は序盤から得点を重ねて開志学園に8回コールド勝ち。日本文理は新潟明訓を中盤突き放して8回コールド勝ちした。
決勝戦は27日(火)午前10時から同スタジアムで行われる。新潟産大附が勝てば初優勝。日本文理が勝てば2年ぶり11回目の優勝となる。
準決勝①新潟産大附7-0開志学園
8回無失点の好投を見せた新潟産大附①西村駿杜(3年)
準決勝②日本文理10-3新潟明訓
5回表に日本文理の田中晴也(2年)が右中間にソロ本塁打を放ち3-0に。田中は8回にも2本目となるソロ本塁打
◎25日の準決勝の試合結果◎
<ハードオフ>
①新潟産大附7-0開志学園(8回コールド)
→新潟産大附が初の決勝進出
(バッテリー)
開志:須原将哉、加藤晴也、伊藤日汰-加藤啓吾
産附:西村駿杜-村山廉太郎
(二塁打)
開志:加藤啓吾(3回)
産附:中村桜介(5回)
(三塁打)
産附:五十嵐魁(1回)、鈴木健太郎(1回)
◇新潟産大附・吉野公浩監督の話◇
「西村がよく投げた。暑さもあり、多少の失点はあるのかなと思ったが、こちらが予想していた以上の投球をしてくれた。(打線は)ここまでの4試合では先制されるなど序盤に苦しんできた。きょうは速い直球を打つ練習をずっとやってきた成果が初回から出た。選手が強い気持ちで一球に食らいついていた。ウチは選手が主体的にやるチーム。選手がいつも以上に声を出して元気に頑張ってくれた。今まで以上にたくましさを感じた。(次戦は決勝戦だが)我々は初出場を狙っている。反対ブロックは新潟県の高校野球を引っ張ってきた両校。そこに勝って甲子園に行ければ。いいコンディションを整えたい。春に優勝してから周りの期待も大きく、私自身もプレッシャーに押しつぶされそうになったが、その期待を力に替えて頑張ろうと思う。柏崎から甲夏の甲子園に出たことがないので夢を叶えられるよう精いっぱい頑張りたい。投手がしっかり守り、攻撃はねちっこく泥臭く1点を取りにいく」
◇新潟産大附・鈴木健太郎選手の話◇
「(初回の三塁打は)真っすぐ。真ん中高めに浮いてきた。あの場面はタッチアップで1点入る場面だったので役割を果たせてよかった。序盤に6点を取ることができたが、あと1点が遠かったので(8回の)チャンスで打つことができよかった。打ったのはカットボール。甘い球はこないと思い一球で仕留めようと思った。打った瞬間は外野の頭を越えてくれてよかった。(春の県大会は調子が出なかったが)夏も四番打者になると思ったので、周囲からアドバイスをもらいながら、自分にあった打撃フォームを身につけてきた。(決勝戦は)1つのミスが結果に響くので徹底事項をしっかり守れるよう冷静に向かいたい。向こうのブロックは甲子園に出てきた学校。初出場がかかっているが、柏崎の皆さんに元気を与えられるよう頑張りたい」
◇新潟産大附・西村駿杜投手の話◇
「最初は緊張したが、回を追うごとに自分の投球ができた。要所で真っすぐをコースに投げられたことがよかった。仙田がここまでよく投げてくれて、自分がしっかり休むことができた。(春の県大会以降は)全身に疲れが残っていたので、疲れをしっかり取ってから夏に向けてやってきた。(投げ始めたのは)北信越大会が終わってから球数を徐々に増やした。練習試合でも(1試合で最長)5イニングぐらいを投げた。(体のキレは)春の頃に戻った。(最速タイの142㌔が出たが)四番打者をしっかり抑えなければと思い、球速が出たと思う。(3回の適時打は)自分はそんなに打撃がいいとは思っていないが、当たったという感じ。競っていたのでそこで一本出てうれしかった。(決勝戦へ)勝っても負けてもあと1試合。全力を注いでチームの勝利に貢献したい。やっとここまできた。全部出し切りたい。柏崎から夏の甲子園、というのはみんなで言ってきたこと。自分がしっかり投げて甲子園に行けるよう頑張りたい」
◆開志学園・川上大輔監督の話◆
「投手陣も打撃陣もウチよりも一枚も二枚も上手だった。ウチも打撃に自信を持ってやってきたが、なかなかチャンスで一本が出ず、春から初めてだと思うが0で完封されたのは…悔しい。(須原は)高めに浮いた球をやられて、向こうに流れがいった中でのスタートで、向こうの流れでゲームを進められ、ウチの流れに持ってこれずに終わった。(伊藤日には)任せたという中で、よく投げてくれた。0対6からの投入で粘り強く投げてくれた。(武井主将は)背中で引っ張るタイプで流れを変えてほしいと出した。要所要所でのピンチでの西村投手の投球…スライダー、緩急の使い方が思っていた以上によかった。ウチ本来の打撃をさせてもらえなかった。(初のベスト4だったが)1、2年生はこの先輩たちを見て、今年以上の成績を残せるよう、決勝、甲子園に行けるチームを作っていければ。(3年生は3年前に)ベスト8に行ったのを見て来てくれた3年生。甲子園には行けなかったが、新しい開志学園の歴史を作ってくれた」
◆開志学園・伊藤日汰投手の話◆
「(4回から登板したが)流れが悪かったので、自分が投げて流れをよくしようと思って投げた。ずっと0で抑えて、打撃で返そうと思ったが、チャンスで自分が打てなかった。力が出せず悔しい。(今大会はどこが成長できた?)たくさんピンチを背負ったが、気持ちを切らさず強気で投げることができた。産大附には同じシニアの選手がいたので勝ちたかった。(今後は)迷っているが、この悔しさを次のステージでぶつけられたら。学校の歴史を変えることができたので、後輩にまた歴史を変えてもらいたい」
②日本文理10-3新潟明訓(8回コールド)
→日本文理が新潟大会2年ぶり決勝へ
(バッテリー)
文理:村越仁士克、高橋史佳、高橋瑛一朗-竹野聖智
明訓:飯濵友翔、栁下祐希-加藤麗桜
(二塁打)
文理:渡邊暁仁(5回)、岩田大澄(5回)
(三塁打)
文理:土野奏(5回)、玉木聖大(6回)
(本塁打)
文理:田中晴也2(5回・ソロ、8回・ソロ)
◇日本文理・鈴木崇監督の話◇
「今までいっぱい負けたので、勝てるように練習してきて成果が出てよかった。あと1個、全力で向かいたい。(先発の村越が好投したが)素晴らしい投球。度胸のある選手なので思い切って行けという中で、打線もしっかり援護した。日頃の成果が出ている。(打線は)いい当たりが出た。最後の一戦に向けていい弾みになった。もう一度引き締めて臨みたい。(決勝へ)全力で優勝するんだという気持ちを全面に出して、絶対に負けない野球をしたい」
◇日本文理・村越仁士克投手の話◇
「自分は他の選手と比べ球速がない中、変化球で打たせる投球ができてよかった。公式戦初先発で緊張したが、周りからの声もあり自信を持って投げられた。変化球が低めにいきゴロを打たせることができた。(先発は)きのう言われた。ビックリしたが、言われた瞬間から自分が全部抑えるつもりだった。エースの田中が注目される中頑張っていたので、自分が準決勝でいかに田中を休められ、決勝につなげられるかを期待されていたので、自分の仕事ができてよかった。0が続いて調子が上がってきた。最後は失点したが6回を投げることができてよかった。(先制打は)直球。しっかり打点を稼ごうと思い、思い切りスイングした。(竹野とのバッテリーは)中学生から5年目。エコスタでバッテリーが組めてうれしかったし、そこでしっかりした投球ができてよかった。(決勝へ)必ず勝って優勝したい」
◇日本文理・田中晴也選手の話◇
「甲子園を目指してやってきて、あと1つ勝てば甲子園なんだという実感が湧いている。(きょうは一塁手だったが)自分以外にもいい投手はいるので、きょうは打撃で貢献しようと思っていたが結果につながってよかった。自分が打って村越を楽にさせたいと思っていた。(1本目は)真ん中の高め直球。打ってやろうという気持ちしかなかった。(2本目は)小さいカットボールでインコース。後ろにつなげようと思っていたがチームのために打ててよかった。(体調は)春が終わった後に投げ込みや体力づくりをしてきた成果が出ていて、疲労もなく、決勝戦へ万全でいけると思う。(新潟産大附は)春の練習試合で大差で負けている相手だが、自分たちは春から成長して強くなっている。(決勝へ)ここまで来たら気持ちの勝負。ゲームセットまで気を抜かず、チーム一丸で臨みたい」
◆新潟明訓・島田修監督の話◆
「力負け。ウチは投手のチームで、その投手があれだけ打たれた。雪だるま式に一戦一戦強くなってきた日本文理の勢いを止める力がなかった。あとアウト1つで打たれた部分もあった。ただ3年生はよく頑張ってくれた。(村越投手に対しては)球速はそれほどでもなかったが、高めの直球をとらえ切れずボール球に手を出してしまった。守備のミスから点を取られたので、守備でもう少しリズムを作ることができれば攻撃でもリズムを作れたのでは。下級生は3年生の頑張りを見てきたので財産になったと思う。(2年生のレギュラーも残るが)2年生が今大会は足を引っ張った部分があり、これからに期するものがあると思う。まだ道半ば。生活面も含めすべてで、勝つ資格と言い続けてきた。プレーも含め若干の甘さを鍛えきれなかった部分はある。3年生はよくやってくれたが、その隙をしっかり埋めて、下級生たちが新しい伝統を作ってくれると思う。私も生徒と一緒に頑張りたい」
◆新潟明訓・飯濵友翔投手の話◆
「自分のせいで負けてしまった。相手の方が上手で、自分たちの力不足だった。(文理打線を相手に)丁寧に投げようとミーティングで話していたが、少し意識して甘い所に行ってしまった。甘い所を一球で仕留めるのはさすがだと感じた。調子はよかったが、相手を意識し過ぎたせいか、3、4回から球威が落ちてきた。(4回の田中選手の本塁打は)甘い所に行った自分の失投。しっかり対策を練ってきたが、そこから止めることができなかった。自分の力不足。(栁下との交代の時には)抑えてくれ、流れを持ってこい、と思ってボールを渡した。栁下の投球は自分にもチームにもいい影響を与える投球だった。栁下と2人で切磋琢磨してやってきて、秋春夏と成長してここまで来ることができた。栁下には感謝しかない。(明訓で野球ができて)昔から明訓に憧れがあって選んだ。人間としても野球人としても成長できた。(島田監督は)1年生の時に一緒に入ってきて、将来のためになることを一から教えてもらい感謝しかない。(今後は)上のレベルで続けて、この悔しさを晴らしたい」
◎27日(火)の決勝戦の試合予定◎
<ハードオフ>
新潟産大附(10:00)日本文理
(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 撮影/嶋田健一)