【高校野球】日本文理が2年ぶり11回目の優勝 新潟大会決勝

夏の甲子園出場を懸けた「第103回全国高校野球選手権・新潟大会」は27日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで決勝戦が行われ、日本文理が7対3で新潟産大附に勝ち、2年ぶり11回目の優勝を飾った。

日本文理は初回に主将で四番の渡邊暁仁(3年)の満塁本塁打で先制。3回と6回にも追加点を挙げ、試合を優位に進めた。先発したエースの田中晴也(2年)は最速144キロの直球と変化球を投げ分け、3失点で完投した。初優勝を狙った新潟産大附は初回に五十嵐魁(3年)の適時打で1点を返し、8回には四番・鈴木健太郎(3年)の2ランで追い上げたが及ばなかった。

2年ぶりの開催となる全国高校野球選手権大会は8月3日に組み合わせ抽選が行われ、9日に甲子園球場で開幕する。

2年ぶり11回目の夏の甲子園出場を決め、歓喜に沸く日本文理ナイン

◎27日の決勝戦の試合結果◎
<ハードオフ>
日本文理7-3新潟産大附
→日本文理が2年ぶり11回目の優勝

(バッテリー)
文理:田中晴也-竹野聖智
産附:西村駿杜-村山廉太郎
(二塁打)
文理:岩田大澄(3回)、田中晴也(6回)
(本塁打)
文理:渡邊暁仁(1回・満塁)
産附:鈴木健太郎(8回・2ラン)


試合前、スタンドにあいさつする新潟産大附ナイン


試合前、ベンチ前で気合いを入れる日本文理ナイン


新潟産大附の先発①西村駿杜(3年)



1回表、日本文理は無死満塁から四番・渡邊暁仁(3年)の左越え満塁本塁打で4点を先制


日本文理の先発①田中晴也(2年)




1回裏、新潟産大附は1死3塁から五十嵐魁(3年)の左前適時打で小林和貴(3年)が生還し、1点を返す


3回表、日本文理は2死3塁から髙橋瑛一朗(3年)の左前適時打で5-1に


5回裏、新潟産大附は先頭の田村玲雄(3年)が中前安打で出塁も無得点



6回表、日本文理は2死2、3塁から田中晴也(2年)の右線適時二塁打で2点を追加し、7-1とリードを広げる


新潟産大附の西村駿杜(3年)は粘りの投球で7回、8回と三者凡退に抑えた



8回裏、新潟産大附は2死1塁から四番・鈴木健太郎(3年)の左越え2ランで3-7と追い上げる


優勝の瞬間、最終回に自己最速タイとなる144キロを計測した日本文理①田中晴也(2年・中央)の周りを歓喜の輪が包んだ


戦い終わって、互いの健闘を称え合う両校

◇日本文理・鈴木崇監督の話◇
「3年生の思い、昨年の分、(辞退した)中越高校の分など、いろいろな思いが詰まった決勝戦だったが、きょうを迎えられたことに感謝。勝ち切れたことは3年生の協力なくしてなかった。チーム文理になった。ウチの3年生、対戦校の好投手…いろいろなものが力になった。(渡邊主将の満塁弾については)4点は大きかった。次にいきる打席になった。(田中投手の投球については)未知の世界でいい経験になったと思う。(チームの成長は)負けなかったことがチームの成長。強くなったし、目標があり一日一日をしっかり過ごした証がきょう。あしたからも自信を持って過ごしてほしい。(甲子園に向けて)もっと打たなければ、全国の壁は厚い。それなりの手応えは掴んだ大会だが、なお要求が高いかもしれないがあすからしっかり練習して最終目標に向かいたい」

◇日本文理・渡邊暁仁主将の話◇
「素直にうれしい気持ちでいっぱい。きょうの試合は今までやってきたことを全力で出し切るだけだとチームに言ってきた。(初回は)まずはつないで1点を必ず取ろうという意識で打席に入ったが、結果的に本塁打になってよかった。打ったのは真ん中低めの真っすぐ。外野フライでも1点だったので、得点はできたと思いうれしかった。ベースを回っている時は4点を取れて投手の田中を楽にさせてあげられたという気持ちだった。田中は頼もしく、投手としても打者としてもチームを助けてくれる存在。きょうは点差が開いても逆方向、ライナーで、追加点を取っていこうと声をかけた。秋春に負けて、夏に懸けてきた。メンバーに入れなかった3年生がサポート役で支えてくれたことに感謝している。(ノーシードからの優勝でチームの成長をどう感じるか?)苦しいトーナメントだったが、1試合1試合勝つごとにチームの雰囲気がよくなり、優勝という形になった。ここで終わらず、甲子園で勝つことを目標にチームで成長できるようやっていきたい。文理の伝統である打ち勝つ野球を甲子園で見せたい」

◇日本文理・田中晴也投手の話◇
「目指してきた甲子園に行けることでホッとした気持ちと、甲子園で勝つためにもっと強くなりたいという気持ち。(決勝は)気持ちだけは相手に負けないようにとプレーしていた。先頭を出したり、焦りがあったり、いつも通りの投球ではなかったが、周りの助けがあって、2回からは開き直って投げることができた。きょうは全体にバラバラで調子はよくなかったが、捕手の竹野と話し合い、変化球を使って相手に的を絞らせない投球ができたのが成長。(6回に自らの適時二塁打で2点を追加したが)追加点がほしかったので自分のバットで楽にしようとリラックスして打席に入ることができた。(打ったのは)内に入って来る変化球。(その後は)自分の持ち味である制球でストライク先行でリズムよく投げることができた。(8回に2失点したが最終回は)春の関根学園戦を経験したので、バッテリー間や守備で落ち着いて守ることができた。(公式戦でここまで球数を大会で投げるのは初めてだったが)大会前から投げ込みで準々決勝、準決勝、決勝と想定してきた。(甲子園では)気持ちで負けたくない。1勝ずつ積み重ね、全国制覇という目標にチーム一丸となって戦い抜きたい」

2年ぶり11回目の優勝を果たした日本文理

◆新潟産大附・吉野公浩監督の話◆
「悔しい。初出場を狙ってこの大会に臨んだので、甲子園に届かなかったことは悔しい。ただ日本文理の方が力が上だった。ロースコアの展開に持ち込みたかったが、初回の満塁本塁打が重かった。1点ずつ取っていこうと言ったが、田中投手が低めに丁寧に投げていて、なかなか走者を溜められず、四球も出さない投手で攻め手がなかった。このチームは3年生がしっかりしていて、3年生主体で練習をやり、中心的にやってくれた。3年生がいなければここまでの結果は残せなかった。0か100かの戦いだと言ってきたが、決してきょうの試合は負けたけど0点ではない。3年生の取り組みが…(涙で言葉に詰まる)。新チームは3年生ほどの力はないが、また鍛えてこの舞台に帰ってきたい。この日本文理の壁を越えないと甲子園はないので、倒すことを考えてやっていきたい。(西村投手へは)西村がいなければ春の優勝はなかった。この夏の3試合は最高の投球だった。決してここで終わる選手ではない。大学やその先を目指して頑張ってほしい。(3年生へは)3年生がいなければ結果を残せなかった。本当によく頑張ったと声をかけたい。(柏崎の皆さんへ)たくさんの期待と声援をいただき、ここまで来たが、また柏崎から甲子園へは行けなかった。もう一回ここに戻ってこれるようチームを作りたい」

◆新潟産大附・西村駿杜投手の話◆
「決勝ということは意識せず、自分の投球をしようと心掛けた。調子は悪くなかったが、文理打線を抑えられなかった。点は取られたが、自分が踏ん張って流れを作ることを意識して投げた。(初回に満塁本塁打を打たれ)4点は取られたが、ここで追加点を取られてはダメだと思い、しっかり切り替えた。序盤は課題だったが、序盤で失点し、最後まで課題が残った。(捕手の村山には)自分の投球をすれば大丈夫だからと声を掛けてもらった。その言葉は自分の支え、自信になった。とてもいい仲間に恵まれ、ここまで切磋琢磨できた。みんなにありがとうと伝えたい。自分だけの力でなく、たくさんの人の支えがあって今大会は勝つことができたので感謝したい。監督から最後に『ナイスピッチング』と言われ、うれしかった。今後は上のレベルで野球を続けて、この悔しさを晴らせるように頑張りたい」

準優勝・新潟産大附…「柏崎から甲子園へ」の思いは後輩たちに託された

(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 撮影/嶋田健一)