大学野球の関甲新学生野球連盟は秋季リーグ戦を当初予定していた9月2日から延期することを決めた。新型ウイルスの感染拡大状況を踏まえた措置で、8月28日付の連盟ホームページでは「10月2日開幕を目指して調整を進める」としている。
秋季リーグ戦を控えた1部所属の新潟医療福祉大は新主将に坂井翔太内野手(3年・中越)が就任し、創部9年目での悲願のリーグ初優勝を目指している。
新潟医療福祉大の主将に就任した坂井翔太(3年・中越)
新潟医療福祉大は例年、春季リーグ戦が終わった後に主将が交代し、4年生から3年生にバトンタッチされる。2013年の創部から9年目、7代目の主将に選ばれた坂井翔太は中越高校時代の2018年夏に三番・遊撃手として甲子園に出場した経験を持つ。「小学生以来」という主将に自ら立候補したという。
「1年生の時からリーグ戦に出場させてもらい、いろいろな経験をしてきました。代が替わって自分が引っ張っていかなければいけないという自覚がありました」
高校時代にはプロ志望届を出し、スカウトからも注目をされた坂井。プロ球団からの指名はなかったが、進学した新潟医療福祉大では1年時から三塁手や遊撃手などで起用されてきた。高校時代に比べて口数は多くなった方だが、それでも「口で言うタイプではない。プレーや背中で引っ張る主将に」と自らの主将像を話す。
「プレーで引っ張る主将に」という坂井
前主将の笠原遥也(4年・日本文理)らは春季リーグ戦で引退し、野手陣が大きく入れ替わる。チームカラーについて坂井は「前の代(4年生)に比べて打撃も守備も落ちる。野手の経験値が少ないので、投手主体で守りを中心にした野球で、打撃はリーグ戦までにアップしたい」と話す。
「自分たちの代(3年生)は前の代(4年生)に比べて甲子園出場選手が少なく、その分、はっきりとものを言える人間が少ない。全員でいろいろな挑戦をして、その中でこれは正しかった、これは違った、というように経験を重ねながらやっていこうとミーティングで話しました」
1歳上の兄・琢真(4年・中越)は今春のリーグ戦で活躍し、ベストナインに輝いた。坂井自身も「兄が集大成で結果を残した。自分も負けずに秋に結果を出したいと思っている」と意気込む。
秋のリーグ戦は当初9月2日の開幕を予定していたが、関甲新に所属する大学がある埼玉、茨城、栃木、群馬に緊急事態宣言が発令されたことを受け、28日の理事会で開幕が延期された。
坂井は「コロナ禍で日程がどうなるのかわからないが、今までの歴史を塗り替えられるよう、リーグ優勝を目指して一日一日、一戦一戦を大事にしてたい」と話している。
◎最後の秋に進化誓う ドラフト候補のエース・桐敷拓馬◎
春のリーグ戦で5勝を挙げ、最速150キロをマークしたエース左腕の桐敷拓馬(4年・本庄東)が最後のリーグ戦を前に静かに闘志を燃やしている。「新チームとなるので下級生がリーグ戦に出やすい環境をつくり、残った4年生が引っ張りたい」と意気込む。
指名が有力視される10月11日のNPBドラフト会議に向けて、「意識はするが、リーグ戦ではいつも通り淡々と投げ切ることを心掛けたい」と話す。指名されれば、1期生の笠原祥太郎(中日)、3期生の漆原大晟(オリックス)に次ぐ同大3人目のNPB入りとなる。
8月7日の紅白戦で好投する桐敷拓馬(4年・本庄東)
8月7日に行われた紅白戦では、西日本の球団スカウトが新潟入りし、桐敷の状態をチェックした。特に評価が高かったのがスライダーの精度で、「大学生左腕の中では5本の指に入る」と即戦力としての評価を与えた。
春のリーグ戦では5勝を挙げたが、桐敷自身は「リーグ戦終盤に球質や球速のパフォーマンスが落ちた」と課題を挙げた。その上で「秋は1シーズンをしっかり投げ切る体力を意識してトレーニングを積んできた」とさらなる進化を誓っている。
(取材・撮影・文/岡田浩人)