今夏の新潟大会で準優勝に輝いた帝京長岡高校の3年生エース・茨木秀俊投手(18歳)が24日、長岡市内の同校で取材に応じ、10月のNPB(日本野球機構)ドラフト会議での指名を目指し、「プロ志望届」を提出することを表明した。茨木は今夏の新潟大会で同校を初の決勝に導いたエースで、最速147キロの直球とスライダー、チェンジアップが武器の右腕。
茨木は取材に対し「指名があれば12球団どこでも行く」と話し、「プロの世界で今まで以上の活躍をして、お世話になった人や帝京長岡に恩返ししたい。チームを勝たせられる投手になることが目標」と意気込みを語った。
プロ志望届提出を表明した帝京長岡・茨木秀俊(3年)
「プロ志望届を出すことにしました」
茨木の言葉に迷いはなかった。夏の新潟大会決勝では日本文理を相手に延長11回を投げ切り、悔しいサヨナラ負けを喫した。あれから約1か月。すっきりした表情で取材に応じた。
「今まで以上に活躍をして、支えてもらった芝草(宇宙)監督や帝京長岡に恩返ししたい」…プロの世界へ挑戦する決断に至った心境を説明した。
北海道札幌市出身。日本ハムでコーチ経験のある芝草宇宙監督との縁で帝京長岡に入学した。長い手脚をいかしたしなやかな投球フォームと快速球で、1年時から将来を嘱望された。
監督就任初年度に入学してきた茨木について、芝草宇宙監督は「入学直後から練習に取り組む姿勢は他の選手の手本となるくらいしっかりやっていた。人の話をよく聴くことができ、吸収力が高く、これは信頼できるエースになると思った」と振り返る。
特に今春4回戦で新潟明訓にコールド負けをした後、夏の大会までの変ぼうぶりが印象的だったと話し、「2か月間で一気に成長した。投げ込みをすることで肉体的にも追い込んだが、特に精神的に大きく成長し、自信を持って投げることができるようになった」と指揮官は目を細める。
夏の新潟大会では準々決勝の東京学館新潟戦で自己最速となる147キロをマーク。準決勝の中越戦では延長12回を無失点完投。決勝では延長11回で惜敗したが、2失点。直球とスライダー、チェンジアップを武器に、安定した投球を見せた。
「帝京長岡高校に来て、芝草監督から指導を受けて自分の能力も上がりました。最後の夏は負けてしまいましたが、自分の力は発揮できました」
夏の新潟大会では最速147キロをマーク、大黒柱として活躍した
夏の新潟大会後は「無駄な四球を出すなど振り返ればたくさん反省点があった。そこを直さなければ上(プロ)では戦えない」と次のステージへ気持ちを切り替えた。甲子園大会をテレビ観戦し、「(近江の)山田(陽翔)投手が大舞台であれだけの投球ができることがすごいと思った。負けていられない」と気合いを入れ直した。
目標とする投手像について茨木は「チームを勝たせられる投手になりたい。(オリックスの)山本由伸投手の投球に憧れています」。北海道出身ということもあり、小学生の頃から日本ハムの試合を多く観戦してきたが、「(指名があれば)12球団どこでも大丈夫です」と笑顔を見せた。
芝草監督は「走っても投げても身体能力が高い。まだ彼の持っている能力を引き出せていない。プロでここから2、3年鍛えれば彼のベストが出るのでは」とさらなる成長に期待を寄せる。
自らの強みを「1人ひとりを丁寧に打ち取っていくこと」と表現した茨木。9月に入ってからプロ志望届を提出する予定。現在は後輩たちと一緒に練習を続けている。10月20日のNPBドラフト会議当日に向け、「待つことしかできないが、いつ名前が呼ばれてもいいようにしっかり準備したい」と前を見据えた。
(取材・撮影・文/岡田浩人)