球春到来…この春、新天地で夢へ再挑戦する選手や、夢を引き寄せるため勝負のシーズンを迎える選手、そして復活を期す選手などに焦点を当てる。
2回目は日本文理高校出身で創価大4年の安城健汰投手(21歳)。高校時代は控え投手で、3年夏の甲子園には外野手として出場した。大学では投手に再挑戦し、昨秋のリーグ戦では最速146㌔をマーク。伸びしろの大きい、期待の右腕としてプロのスカウトがその成長を見守る。「150㌔を出して、プロの世界に行きたい」と目標を話し、4月6日に開幕する東京新大学野球連盟の春のリーグ戦で腕を振る。
創価大4年の安城健汰(日本文理高出身)最終学年の今季にさらなる飛躍を期す
「やっとチャンスを掴むことができました」
去年秋、3年生として迎えたリーグ戦で、安城はようやく大学生として公式戦初登板を果たした。9月26日の東京国際大戦では中継ぎとしてマウンドに立ち、初勝利を挙げた。
「春から秋にかけてトレーナーの指導のもと、体の可動域などを意識して自分の体の“使い方”を学びました。そこから調子の波がなくなり、自分のフォームに手応えを掴むことができました」
高校時代の球速は130㌔台。大学入学後も140㌔台前半だった球速は、昨秋に最速146㌔をマークするまでに成長した。変化球もカットボール、カーブのほか、フォーク、チェンジアップを操り、「タテの変化球で空振りが取れるようになりました」と自信を見せる。180㌢、80㌔の体格も含め、まだ伸びしろは十分にある。
直球の最速は146㌔をマーク この春の成長が楽しみな投手となった
(写真提供・創価大学硬式野球部)
安城が注目されたのは中学時代のこと。新潟市立坂井輪中ではエースで主将を務めた。日本文理高校では控え投手として、3年春の県大会で優勝に貢献した。3年夏は打力を買われ、六番打者の左翼手として起用され、甲子園に出場した。
「高校時代は最後に甲子園で投げることができず、投手に未練がありました。大学に進学した時、もう一度投手として挑戦したいと思いました」
日本文理高では3年夏に六番打者・左翼手として甲子園に出場した
しかし大学入学後は新型コロナウイルス禍と重なり、リーグ戦は中止となった。練習も満足にできないまま、時が過ぎていった。2年時にはひじを痛め、登板するチャンスすら得ることができなかった。
そんな時に安城に刺激を与えたのが2学年の上の左腕・鈴木勇斗(現・阪神)だった。2021年のドラフト会議で2位指名され、阪神に入団した先輩をみて、「自分もプロの世界に行きたいと思うようになりました」と話す。
昨秋のリーグ戦で初のベンチ入りと公式戦勝利を掴んだ安城。「秋は投げるたびに自分の力が伸びていくのがわかり、楽しかった」と笑顔を見せる。そして、4年生として迎える今春はさらなる成長が期待される。
「大学はエースという存在がいても、負けずに自分もやってやるという選手が多く、競争が激しい。まだ大学に来てから全国の舞台に出ていないので、春は絶対に優勝して大学野球選手権に出場したいです。個人的な目標としては150㌔を出すこと。新潟でずっと応援してくれている人たちのために、恩返しの気持ちを持って戦うつもりです」
6日から春のリーグ戦が始まる。ここまでの調整は「順調」と話す安城。既にオープン戦で自己最速タイとなる146㌔を計測している。大学最後の春に、自らの成長を証明する投球を見せる。
◎創価大の春季リーグ戦予定(東京新大学野球連盟)◎
・4月6日(木)7日(金)…対 東京学芸大(大田スタジアム)
・4月22日(土)23日(日)…対 東京国際大(龍ヶ崎市)
・4月29日(土)30日(日)…対 共栄大(飯能市民)
・5月6日(土)7日(日)…対 駿河台大(岩槻川通)
・5月20日(土)21日(日)…対 流通経済大(県営大宮)
(取材・撮影・文/岡田浩人 撮影/嶋田健一 写真提供/創価大学硬式野球部)