「第106回全国高校野球選手権大会」に新潟代表として初出場を果たした新潟産大附高校のベンチ入りメンバー20人を2回に分けて紹介する。
※名前・読み方・学年・守備位置・出身中学(硬式出身チーム)・身長体重・投打
①宮田塁翔(みやた・るいと)・3年・投手
上越市立城北中(上越シニア)・178cm・83kg・右投げ右打ち
最速141㌔の直球が武器のエース。新潟大会では6試合中5試合に登板し、防御率は1.75だった。スライダー、カーブ、チェンジアップを駆使した強気な投球が持ち味。ただ、決勝では先発したが4回途中で降板。ベンチから声を出していた9回途中から涙が溢れた。「不甲斐ない投球で申し訳なかったのと、もう少しで甲子園に行けると思ったら涙が出た」。3年前の新潟大会決勝を見て、「サンフから甲子園に行こう」と決めた。1年秋に背番号1を背負ったが、その後ケガ。「野球をやめたいと思い仲野部長に相談したら『自分も同じ経験がある』と励まされた。あの期間がなかったらスイッチが入らなかった」。今夏は精神的な成長が投球にも表れた。甲子園では「真っ直ぐで打ち取る投球をしたい」と意気込む。
②堀田温斗(ほった・はると)・3年・捕手
柏崎市立北条中(柏崎シニア)・176cm・69kg・右投げ左打ち
捕手としてベンチ入り5人の投手陣をリードする。「打者が嫌がる投球を心がけ、練習のときから投手としっかり打ち合わせをする」。新潟大会では巧みなリードと強肩でチームのピンチを救ってきた。準々決勝の日本文理戦が印象に残っていると言い、「1点差で勝ち切れたことがうれしかった。少ない失点で勝利したときにやりがいを感じる」と話す。小学生の頃から捕手で、柏崎シニアでは一時内野手に転向したが中3から再び捕手に。二塁送球は2秒を切る。自宅から近く、「中学時代の仲間と一緒にプレーしたかった」と新潟産大附への進学を決めた。「甲子園出場を家族が喜んでくれて、一生懸命やってきてよかったと思った。甲子園でも相手の研究をしっかりしたい」と話す。
③川口陽大(かわぐち・ひなた)・3年・一塁手
千葉・佐倉市立志津中(千葉北シニア)・179cm・70kg・右投げ右打ち
一塁手で五番打者。新潟大会はショートバウンドや高く逸れた送球にうまく対応して打者走者をアウトにし、捕球技術の高さを印象づけた。長坂コーチから捕球を徹底的に鍛えられ、「守備は自信がある」と言い切る。千葉県の出身で、姉が3人いる4人きょうだいの末っ子。2番目の姉が野球をやっていた影響で小1から野球を始めた。「末っ子で甘えて過ごしてきたので自立しなければと思い、寮生活ができるところに進学したかった」。姉の知人が新潟産大附のコーチを務めていた縁で新潟にやってきた。新潟暮らしで精神的にも成長した。打撃では広角に打てる打撃が特長だが、「新潟大会はあまり打てず悔しかった。甲子園では自分がチャンスを広げ、チャンスで一本打つ打撃をしたい」と活躍を誓う。
④平野翔太(ひらの・しょうた)・3年・二塁手(主将)
柏崎市立第五中(柏崎シニア)・164cm・64kg・右投げ左打ち
俊足と巧打、さらにパンチ力のある打撃が特長の二番打者。主将として56人の部員をまとめてきた。初優勝が決まった瞬間、お立ち台で大粒の涙を流した。「恩返しできてうれしい」。主将就任後の昨秋は初戦敗退、今春も3回戦で敗れた。「結果が出なくてずっと苦しかった。選手一人ひとりの個性が強く、チームをまとめるのが大変で……夏の大会が始まって、勝つたびに徐々に一つにまとまっていった」。柏崎シニアでも主将を務め、「吉野監督のもとで甲子園に」と進学した。「監督からは人としての挨拶や返事をしっかり教えていただいた」と話し、吉野イズムをチームに浸透させてきた。「新潟県代表として甲子園に行く。新潟も根性があるんだぞと見せたい」。甲子園の勝利で証明するつもりである。
⑤高橋海向(たかはし・かなた)・3年・三塁手
柏崎市立南中(柏崎シニア)・171cm・70kg・右投げ右打ち
三番打者で三塁手を務める。新潟大会では初戦の六日町戦で適時打を放ったが、打率・231と「いい結果が出なかった」と振り返る。一方で守備では安定感があり、落ち着いたプレーで勝利に貢献した。小1で軟式野球を始め、中学で柏崎シニアに入り、本格的に内野手を始めた。「3年前の新潟大会での準優勝を見て入学を決めた」。2年秋に突然、送球が不安定になる“イップス”になってしまう。「もう試合に出られないかもしれない」と悩んだが、周囲の協力で、冬の間にずっと基礎から送球練習を繰り返し、見事に克服した。打撃では高校通算5本塁打と長打力もあり、ここぞの場面での一本が期待できる。「甲子園ではチャンスで一本出せるように頑張りたい」と感謝の一打を心がける。
➅多田大樹(ただ・だいき)・3年・遊撃手
長岡市立秋葉中・174cm・73kg・右投げ右打ち
四番打者として新潟大会は打率・455。チームが期待する場面で結果を残し、「勝負強さはチーム一だと思っている」と自信をのぞかせる。守備でも遊撃手としての強肩が持ち味。4歳上の兄の影響で小1から野球を始め、中学時代は中軸で三塁手だった。「3年前の新潟大会決勝を見て、サンフに行こうと決めた」。長岡市栃尾の自宅を朝は6時に家を出て、夜は遅くに帰宅する生活。「最初はキツかったが、慣れた」と笑顔をみせる。今春の練習試合でケガをし、手術を経験した。春の県大会は欠場。しかしこの夏にグラウンドに戻ってきた。チームの柱として地道にコツコツ努力する。甲子園では「楽しく、高校生らしくプレーしたい」と心に誓っている。
⑦中村心虹(なかむら・こう)・3年・左翼手
出雲崎町立出雲崎中(柏崎シニア)・167cm・62kg・左投げ左打ち
50メートルを6秒を切るタイムで走る俊足が最大の武器。新潟大会ではチームトップとなる打率・542をマークした。「自分の役割は下位から好機をつくって上位に回すこと」と話す。2人の兄が野球をやっていたことから物心ついた時にはバットとボールを握っていた。小2でチームに入り、中学は柏崎シニアで投手も務めた。ただ新潟産大附に入学後、左肩を痛めて外野手に転向。「投手をやりたかったが、外野手で頑張ろうと思った」と気持ちを切り替えた。俊足巧打の外野手で「セーフティーバントも得意」と話す。昨秋は公式戦でのマウンドも経験していて、5人の投手陣にプラスした貴重な左腕としても戦力となる。「優勝して地元の仲間が自宅まで来て喜んでくれた。甲子園でも頑張りたい」と闘志を燃やす。
⑧戸嶋翔人(としま・しょうと)・3年・中堅手
新潟市立曽野木中(新潟ボーイズ)・162cm・65kg・右投げ右打ち
一番打者で新潟大会は打率・478と打ちまくった。50㍍を6秒を切るタイムで駆け抜けるチーム一の俊足。「足をいかした打撃を心がけている」と話す。父親の影響で小3から野球を始め、中学時代は硬式の新潟ボーイズに所属。新潟産大附には「チームの雰囲気、吉野監督の人柄にひかれた」と進学を決めた。入学直前に父親が急逝。甲子園出場を心に誓い、この夏はその誓いを果たした。「毎日毎日バットを振り続けた」という結果、新潟大会では好調を維持した。甲子園では「新潟県ではいない球速の投手が出てくると思うが、振り負けない打撃をしたい」と力を込める。将来も「上のレベルで野球を続けたい」と話し、その活躍を亡き父に届けたいと誓っている。
⑨千野虹輝(ちの・こうき)・3年・右翼手
長岡市立秋葉中・177cm・74kg・右投げ右打ち
打順は下位だが新潟大会決勝では2安打。「状況に応じた打撃が持ち味」と話すように場面に応じてチームに貢献するプレーが特長。多田とは小2からの友人で、「人数が足りないから一緒に野球をやろう」と誘われてチームに入った。最初の野球経験がエコスタでのティーボール大会だった。「楽しくてはまった」とのめりこむ。中3のときに仲間だった多田、古川、鈴木とともに新潟産大附のオープンスクールに行ったことがきっかけで進学、甲子園出場の夢を叶えた。好きなプロ野球選手は「日本ハムの新庄剛志監督。動画を見て華やかなプレーが最高」と話し、「甲子園で目立つプレーがしたい。肩に自信があるので、いい場面で走者を刺したい」と目を輝かせる。
(取材・撮影・文/岡田浩人 撮影/若月仁 田代祭汰)