【インタビュー】日ハム・大渕隆スカウトが来県 「チャンスは身近にある」

十日町市出身で北海道日本ハムの大渕隆スカウトディレクター(43)が28日から新潟入りし、県内の高校などを視察している。大渕スカウトは一昨年のドラフト会議で1位指名した大谷翔平選手(花巻東高出身)の交渉担当として、『大谷翔平君 夢への道しるべ』という資料を作成・提示。粘り強い交渉で入団を実現させた。十日町高の三塁手で主将として2年秋に県大会優勝し、その後早稲田大に進学。東京六大学でベストナインを獲得した。社会人を経た後、地元に戻り公立高校教師に・・・その後、35歳で日本ハムのスカウトに転身した異色の経歴の持ち主だ。プロスカウト現場の最前線で活躍する大渕さんに新潟の高校生への思いを聞いた。

県内の高校を視察する日本ハム・大渕隆スカウトディレクター

Q今回の新潟入りの目的は?
大渕「2月に予定されていた日本文理高の埼玉遠征が大雪で中止となり、選抜大会前に飯塚(悟史)投手を視察したかったので新潟に来ました。せっかくの機会だし各高校にも足を運ぼうと思って数校見て回っています」
Qプロのスカウトはこの時期どういう活動をしていますか?
大渕「自チームのキャンプを見て、3月になると大学や社会人のオープン戦が始まるので見て回ります。高校の練習試合解禁が3月8日。3月は練習試合ばかり見ています」

Qこの時期に高校生を見る際のポイントは?
大渕「名前が聞こえてくる選手はどんな体格をしているのか、どんなフォームなのか・・・この時期は細かいところを見ても仕方がないので。基本的には高校生は素材を見ます。最近はよく高校生に対し『プロに行くなら大学経由がいい』などと言いますけど、僕はそうは思わなくて、18、19歳の感性は23、24歳にはないものがある。素材が良ければ早く高いレベルに入れた方がその選手の野球の能力は上がると確信しています。もちろん人生をトータルで見た時にいろいろな判断があるとは思いますが、野球の能力を伸ばすという意味では、高いレベルに早く入れた方が伸びます。大学行ってからでも遅くはない、という言葉は好きではない。むしろ遅いと思います。僕もアマチュアにいた時はそう思っていましたが・・・」

Q地元新潟の存在は?
大渕「自分がスカウトになってから新潟からはバイタルネットの谷元(圭介投手)しか獲ってないので、できれば高校生をダイレクトで獲りたいという気持ちはあります。ウチの球団は比較的、高校生を育てる環境があるし、意欲的な素材があればぜひと思っています」
Qプロで大成するための大事な要素は何でしょう?
大渕「今現在の自分なりの公式は、『(身体能力+環境)×圧倒的な向上心』ですね。僕自身が考えるには『向上心』がなければ無理ですね」

Q新潟の高校生にメッセージを
大渕「新潟をはじめ、地方の高校生は体格や身体能力において、関東の高校生と比較してもそん色ないどころか勝っている選手が多い。ただ『自分はここまでだ』というリミッターを自分自身で設けてしまっている。非常にもったいない。向上心、やる気があればプロや大学、社会人で活躍できる。ぜひ高い目標と志を持って取り組んでほしい。また、そういう環境を大人が用意しなければならないし、自分自身スカウトとしてそういう選手を発掘しプロに入れることで、もっとプロの存在を身近にしたい。チャンスは身近にあるんだと伝えたいですね」

十日町市出身の日本ハム・大渕隆スカウトディレクター

(取材・撮影・文/岡田浩人)