【ルートインBCL】渡辺雄大が好投 赤堀アルビがホーム開幕戦飾る 

ルートインBCリーグの新潟アルビレックスBCは12日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで福島ホープスとホーム開幕戦を戦い、5対0で勝利した。新潟は3回に相手の悪送球から1点を先制、5回には6番・平野進也(兼任コーチ)の適時二塁打で2点を追加した。投げては先発の渡辺雄大(中越高出身)が7回を投げ無失点の好投。今季から新規参戦の福島に完勝した。今季から指揮を執る赤堀元之監督のもと、チームは幸先のいいスタートを切った。

7回を投げ無失点で開幕投手の大役を果たした渡辺雄大投手

◎12日の試合結果◎
福島 000 000 000 =0
新潟 001 020 02× =5
(バッテリー)
福島:高塩、佑輔、山岸、高堀-笹平
新潟:渡辺雄、山口、間曽-平野

◎戦評◎
新潟は3回に失策で出た走者を2塁に置いた場面で、4番・キャンデラスの当たりを福島のサードが悪送球し1点を先制した。5回には走者2、3塁の場面で6番・平野が右中間に2点適時二塁打を放ち追加点を挙げた。

新潟先発の左腕・渡辺雄は立ち上がりこそ力みが見られたが2回以降は修正。5回まで福島打線を無安打に抑えた。6回に福島の1番・貴規(前ヤクルト育成)に初安打を浴びたあと、1死1、3塁のピンチを招いたが、後続を抑えた。新潟は8回は山口、9回は昨季リーグ最多勝の間曽を投入し、3投手のリレーで福島打線を完封した。

試合前に新潟・赤堀元之監督(右)と福島・岩村明憲兼任監督に花束が贈られた


5回裏、新潟が平野進也兼任コーチの適時二塁打で2点を追加


9回表の福島の攻撃を3人で抑えた間曽晃平投手(右)

◇新潟・赤堀元之監督の話◇
「なかなか点が入らなかったが、(5回の)平野の中押しの2点が効いた。渡辺雄大もいい形で抑えてくれた。低めに集まった球が多く、左打者のタイミングを外せてよかった。投手がしっかりすれば勝てる。機動力も使えた。熱い応援でこういう勝利が生まれた。1試合だけだがいい形で1勝できてこれからが楽しみ。日本一を目指してしっかりやりたい」

◇開幕戦で初勝利の新潟・渡辺雄大投手◇
「初回は力んでしまったが2回以降はうまく修正できた。相手の高塩さんがいい投手で大量点は難しいと思っていたので、しっかり抑えて野手陣にリズムをと思っていた。各回の先頭打者を抑えることができたのが大きかった。真っ直ぐが走っていて、変化球とのコンビネーションもうまく使えた。(開幕戦勝利で)チームに流れがきて、リーグ優勝につながれば。いい形でスタートが切れたので、チームとしてはリーグ優勝と日本一を成し遂げるということ、個人としてはBCリーグでトップの成績を残してドラフト1位でNPBに行くという目標のため、日々全力で頑張りたい」

◇5回に2点適時二塁打の平野進也兼任コーチ◇
「前の2打席でチャンスを逃したので、5回は集中していた。打ったのは外角の真っ直ぐ。自分らしくコンパクトに右方向に打つことができた。いいスタートが切れたので、ここからどんどん勝ちを重ねて再び日本一になるまで突き進めれば」


◎開幕戦でイベント賑やかに 桑田真澄氏もエール送る◎

ホーム開幕戦とあって試合前には恒例となった「大餅まき大会」がグラウンドでおこなわれた。この日は前監督のギャオス内藤氏が来場し、元主将の清野友二氏、前選手の青木智史氏らと集まったファンにスポンサーから提供された餅やお菓子をまいた。

試合前にグラウンドでおこなわれた「大餅まき大会」


スタンドからサポーターと一緒に声援を送るギャオス内藤前監督(右)


観戦に訪れた桑田真澄氏 試合後、取材に応じ「今後協力したい」と話した

また今季新潟に加わった桑田真樹外野手の父親で元巨人の桑田真澄氏(47)が開幕戦を観戦。試合後、報道陣の取材に応じた。2009年7月にハードオフ・エコスタジアムのBCリーグ公式戦で始球式を経験した桑田氏は「それ以来の観戦」と話し、「たくさんのファンが熱く応援をしていて、やはり野球はどのステージでもいいなと思った。BCリーグは年々レベルが上がってきている。(長男・真樹選手には)全面的に協力していきたい。プロの世界は厳しいが、自分らしく頑張ってほしい。このチームで成長させてもらって上を目指してもらいたい」と期待を寄せた。新潟の印象について聞かれ、「新潟は遠いイメージがあったが、あっという間に着いて近いと思った。何度か時間を作って来たいし、1試合でも多く観たい。監督がOKしてくれたら練習にも参加したい(笑)。バッティング投手もまだできるので・・・野球界の後輩たちのために少しでも協力できたら」と今後も新潟入りする考えを話した。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


エコスタの“改修”工事 新潟アルビレックスBCの開幕戦に間に合わず

前代未聞、異様な状態でホーム開幕戦を迎える。

新潟市中央区にあるハードオフ・エコスタジアム新潟(以後エコスタ)で12日午後、ルートインBCリーグの新潟アルビレックスBC対福島ホープスの公式戦がおこなわる。毎年、新潟のホーム開幕戦は餅まき大会など開幕を彩るイベントがおこなわれ、親子連れなど大勢の観客が球場に足を運ぶ。去年は約3200人が集まっている。開幕戦は野球選手、チーム、ファンにとっては『お正月』とも言える特別な日である。

この晴れの舞台である開幕戦が今年は異常な状態で開催される。新潟県がおこなっているエコスタの屋根部分の点検・改修工事が開幕戦までに「終わらなかった」のである。バックネット裏や内野スタンドの2層目には大きな足場がむき出しの状態のままで、選手や観客の視界に飛び込んでくる。

エコスタのバックネット裏・2層観客席には大きな足場が組まれている(10日撮影)


外野から見ると2層観客席の4か所で足場が組まれている(10日撮影)

エコスタでおこなわれている工事は3月上旬、一塁側の内野スタンドで始まり、2層スタンドに大きな足場が組まれた。その後、工事はバックネット裏から三塁側まで広がっていった。3月15日からスタートした新潟アルビレックスBCの全体練習(キャンプ)やオープン戦では、例年おこなわれている内野スタンドからの観客の見学・観戦は禁止された。楽しみにしていたファンはやむなく外野スタンドからの見学・観戦を余儀なくされた。

新潟アルビレックスBCで運営を担当する池田拓史専務は「県側から工事のお話しがあったのは2月半ば。既に3月にキャンプとオープン戦を予定していた中でした。4月12日にはホーム開幕戦があり、県からは『開幕戦までには努力します』というお話しをいただいていましたが、その後『4月12日以降も工事が継続する』という連絡をいただきました。こんなにも大がかりな工事になるとは想像もしていませんでした。我々は球場をお借りしている立場なのですが・・・正直戸惑っています」と困惑を隠さない。

足場を移動する作業員 県によると「天井の改修工事」だという

そもそも何の工事をやっているのか。そしてなぜこの時期だったのか。工事の担当である新潟県土木部・都市整備課に取材した。

「工事は屋根の天井の改修工事です。平成27年のシーズンが始まるにあたって施設点検をやっている中で、一部傷んでいる部分がありました。“経年劣化”で修繕をすることになりました」(県都市整備課)

年が明けた後の点検中に天井部分に「傷んでいる部分」を見つけ、その後、修繕と他の天井の点検作業をおこなっているという。工期については、「アルビBCのご理解をいただいて進めている」とした上で、次のように話した。

「作業は4月末までかかる予定です。5月(9、10日)のプロ野球戦(DeNA対巨人)でお客さんにご迷惑がかからないようにと考えています。アルビBCさんについては満席になる訳ではないので、1層目スタンドを使うことでご了解をいただいています。12日の開幕戦についてはロープで観客の誘導をおこなうなど安全対策がとられることになっています。工事の時期については限られた時間の中でやむを得なかったと考えています」(県都市整備課)

  グラウンドでプレーをする選手たちも戸惑いを隠さない。キャンプやオープン戦中は視界に入る場所で作業がおこなわれ、「ファールボールがぶつかるんじゃないかと冷や冷やしながらやっていた」と話す選手もいた。「あのペースでは工事は終わらないんじゃないかと思っていました」と言う選手がいたほどである。

例年、観客入口となっている場所にも大きな足場が設置されている

工事の足場はスタンドだけではなく、球場の外の観客入口部分にも設置され、観客の入場にも影響が出る。池田専務は「あの場所はお客様の入口になる、と県に説明してきたが足場が組まれてしまった」と残念がる。

12日のホーム開幕戦には泉田裕彦新潟県知事も来場する予定。県の担当者は「知事にも工事の件は報告してある」と話しているが、泉田知事はスタンドに足場が残る光景を見てどんなことを感じるだろうか。そして11日の福島での試合が雨天中止になったため12日は新規参入球団・福島ホープスの開幕戦にもなった。福島から来た野球ファンの目に、新潟のエコスタはどのように映るのだろうか。

そもそも、工事をおこなう県側のコメントにもあったように、5月のDeNA-巨人戦に間に合わせることが最優先となり、地元の球団である新潟アルビレックスBCの開幕戦が軽んじられたとしたら寂しい。これがサッカーのアルビレックス新潟の本拠地・デンカビッグスワンだったら県は同じような対応をしただろうか。そして完成から6年に満たない時間の中で「経年劣化」(県都市整備局)が起きるというのは、そもそも建設段階で問題がなかったのだろうか。

この異様な光景の中でのプレーを余儀なくされる新潟と福島の選手と、この日を楽しみにしてきたファンがあまりにも可哀想であり、そして新潟県人として悲しい。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


【ルートインBCL】福島での開幕戦は中止 12日にエコスタでホーム開幕戦

ルートインBCリーグは11日に開幕した。新潟アルビレックスBCは福島県郡山市で福島ホープスと対戦する予定だったが、雨のため中止となった。

新潟の次戦は12日13時から、ホーム開幕戦として新潟市のハードオフ・エコスタジアムで福島と対戦する。予告先発投手は新潟が渡辺雄大(中越高出身)、福島が高塩将樹。

(文/岡田浩人)


【ルートインBCL】11日開幕 初の開幕投手・渡辺雄大「恩返しを」

ルートインBCリーグの2015年シーズンが11日に開幕する。新潟アルビレックスBCは福島ホープスと福島県郡山市・開成山球場で対戦する。新潟の選手たちは開幕前日となる10日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで最終調整をおこなった。入団2年目で初の開幕投手に指名された渡辺雄大投手(中越高-青山学院大出身)はブルペン投球で汗を流した。

赤堀元之監督(左)の前でブルペン投球をおこなう渡辺雄大投手

渡辺雄大はエコスタのブルペンで捕手を座らせて約30球、フォームを確認するように丁寧に投げ込んだ。変則的な左サイドスロー。「直球や変化球のリリースポイントを確認した。これだけいい投手がそろっているチームで開幕投手をやらせてもらえることを光栄に思う」。大卒入団2年目で大役を任され、素直に喜びを表した。その表情に必要以上の気負いはない。

中越高校のエース番号を背負い臨んだ2009年夏の新潟大会で準優勝。しかし渡辺にとってその記憶は苦いものでしかない。雨中のマウンドで制球を乱し、のちに甲子園で準優勝した日本文理打線に初回から滅多打ちにあった。その後、進学した青山学院大ではベンチ入りすら叶わなかった。しかし大学2年生の終わりには「NPBを目指したい」とBCリーグ挑戦を決めていた。「球は速くない、凄い変化球があるわけでもない、ただ身長の高い左投手。それでもNPBに行きたいと言っていた。『あいつバカじゃないか』と周囲に言われてきた」。

それでも大学の後輩やトレーナーが自主練習の相手をしてくれた。試行錯誤の結果、手に入れたのがサウスポーをいかした、打者から球の出どころが見にくい変則的なフォームだった。『キモいやらしい』・・・渡辺は自らのフォームをそう形容する。「打者が『とらえた』と思ってもとらえていなかった、打った感触はいいけど打球はそんなに伸びなかった、そういう打者が迷うようないやらしい投球が理想」と語る。入団1年目の昨季は7勝を挙げた。昨秋にはNPBスカウトがドラフト候補としてリストアップするなど、中央球界でも渡辺の変則フォームは注目されている。

初の開幕投手。渡辺は「相手投手が高塩(将樹・前富山サンダーバーズ)さんなので、1点2点の勝負になると思う。四球など無駄な走者を出すことでピンチを拡げないように気をつけたい。今年はインコースで勝負できるようにしたい。このオフいろいろとやってきた成果がこのシーズンに出る。それが楽しみ」とシーズン開幕を待ち遠しく思ってきた。高校、大学と決して陽の当たる場所にいた訳ではなかった。「最初はNPBに行きたいという自分をバカにした人を見返したい気持ちだった。今は練習に付き合ってくれた人たちや自分の夢を信じてくれた人たちに恩返しをしたいと思っている」。渡辺は今季の成績で自らが歩んできた道に光を照らすつもりだ。

◇新潟・赤堀元之監督の話◇
「楽しみと不安と半々。大きなケガをしている選手もいない。打撃は外国人の2人が長打が期待でき楽しみが増えると思う。渡辺雄大はブルペンでも試合でも安定した投球を見せている。期待も含めて開幕投手に指名した。相手の高塩投手は先日の対戦で打ち崩せない部分があったので、打者がどう塁に出て点を取るか。いい試合になると思う。キャンプから打者は振れていたので何とかしたい。デニング、キャンデラス、(新人の)纐纈や桑田がいて、いろいろな形の攻撃ができると思う。シーズン通して投手を中心に点をやらずに接戦でも勝つ形にしたい。サポーターの応援に応えられる全力プレーをしっかりやっていきたい」

(取材・撮影・文/岡田浩人)


【ルートインBCL】新潟の開幕投手は2年目・渡辺雄大 4/11開幕戦

ルートインBCリーグは4日、福井市でファンを集めた開幕前イベント「プレーボールカンファレンス」をおこない、新潟アルビレックスBCの赤堀元之監督をはじめ全8球団の監督が参加した。この中で4月11日の開幕投手が発表され、新潟の赤堀監督は2年目左腕の渡辺雄大投手(23歳・中越高出身-青山学院大卒)を開幕投手に指名した。

開幕投手に指名された渡辺雄大投手(中越高出身)

渡辺投手は三条市の出身で、中越高時代にはエースとして2009年夏の新潟大会で準優勝する活躍をみせた。青山学院大卒業後の昨季、トライアウトを経て入団。1年目は先発ローテーションの一角に入り、7勝を挙げた。球の出どころが見にくい変則的なフォームから130キロ台中盤の直球と変化球を打者の内外角に投げ分ける。今年10月のドラフト会議でNPB入りが期待されている。

渡辺投手は球団を通じ「開幕投手については赤堀監督から聞いてはおらず初めて聞いた。ただ平野兼任コーチからローテーションの1番目だから準備しておくよう言われていた。自分が勝つことで独立リーグ日本一へ向けてチームに勢いをもたらしたい。福島は岩村明憲兼任監督や村田和哉兼任コーチのようにNPBの一軍で活躍した選手がいて強力な打線という印象。ただ自分は左打者を得意としているので抑える自信はある」とコメントした。

新潟の4月11日(土)の開幕戦の相手は福島ホープスで、場所は福島県郡山市の開成山球場。福島の開幕投手は昨季まで富山サンダーバーズで活躍した高塩将樹投手が務める。翌12日(日)には新潟市のハードオフ・エコスタジアムで福島を相手にホーム開幕戦が予定されている。

(取材・撮影・文/岡田浩人)