【高校野球】五泉「地域の支援に恩返しを」 21世紀枠県推薦校表彰式

来春の「第88回選抜高校野球大会」の21世紀枠・新潟県推薦校に選出された五泉高校に対する表彰式が26日、五泉市の同校でおこなわれ、新潟県高野連の齋藤均会長から今井塁主将(2年)に表彰状が手渡された。今井主将は「チャンスをいただけるのならば全力で頑張りたい」と決意を新たにしていた。

21世紀枠県推薦校として表彰状を受け取る今井塁主将(左から2人目)

五泉は今秋の県大会で中越、新潟明訓の私立強豪校を破る快進撃を見せてベスト4に進出。第3代表決定戦で敗れ北信越大会出場はならなかったが、過去5年間で県大会ベスト4が2回、ベスト8が2回、ベスト16が2回と好成績を挙げていることや、地域の清掃や除雪ボランティアなどの貢献活動が評価され、21世紀枠の県推薦校に選出された。

今井主将は「地域や学校の皆さんの支えがあっての五泉高校野球部。この野球部が五泉市を盛り上げていけたらという思い」と県推薦の感想を話した。江端利文監督も「光栄で、こういう形で表彰されて五泉市民の皆さんに少しでも恩返しになると思う」と述べた。地域に支えられ、そして地域に恩返しするということを体現してきた野球部ならではの感想だった。

五泉地域からの甲子園出場は地元住民の悲願でもある。野球熱は高く、学童野球では過去に全国ベスト4に進出したチームもある。中学校の部活動も盛ん。さらに硬式野球の新津五泉村松シニアは2年前には全国ベスト8に進出。この地域から数々の名選手が生まれてきた。人口減少の中でも野球熱は衰えず、ことし5月には地元商工会議所などの尽力で、強豪・仙台育英を招いた強化練習試合がおこなわれた。その縁がきっかけで今月上旬には五泉が仙台市を訪れ、仙台育英との練習試合が再び実現した。官民あげての支援が強化につながっていて、江端監督は「本当にありがたい。(地元から甲子園にという)地域の支えを感じる」と感謝の言葉を述べた。

五泉は3年前の選抜選考委員会で北信越候補校になりながらも21世紀枠に選出されなかった。当時の後藤桂太監督(現・新潟高校監督)が会見で涙したシーンを、中学生だった今井主将はテレビのニュースで見たという。「印象的だった。頑張ってやっていける場所だと思い、地元の五泉高校で甲子園を目指そうと決めた」と話す。その思いが今秋の快進撃につながった。

ただ、課題は多い。今井主将は「秋の県大会は体力がなかった。この冬は精神的にも肉体的にも強い心と体を鍛えたい」と話す。江端監督も「投手は1人(2年生エースの廣瀬生成投手)だけでは苦しいので、1年生を鍛えているところ。打撃はまだ線が細く、冬の競争で伸びた選手を使う」と春、そして夏の戦いも見据える。

今井主将は「秋は(北信越大会に出場できず)悔しい思いが強かったが、推薦校に選ばれたことで選手の自信にもなる。日々の練習を精いっぱい頑張りたい。あとは待つだけ。チャンスをいただけるのであれば全力で頑張りたい」と力を込めた。

今後、21世紀枠を巡っては12月11日に五泉を含めた北信越地区候補5校の中から1校に絞られ、来年1月29日に開催される選抜大会の選考委員会で決定される。五泉が選ばれれば春夏通じて初の甲子園出場となる。

(取材・撮影・文/岡田浩人)