【BCL】昨季MVP捕手の平野進也兼任コーチが退団 新潟アルビレックスBC

ルートインBCリーグの新潟アルビレックスBCは15日、平野進也バッテリーコーチ兼任捕手(27)が現役を引退し、退団すると発表した。平野兼任コーチは昨季の野手部門MVPを獲得した捕手で新潟打線の中軸。新潟は昨年11月のドラフト会議で2名の捕手を獲得しているが、打線の軸でもあり扇の要でもある平野兼任コーチの退団は、今季のチーム編成に大きな影響を与えそうだ。

現役引退・退団が決まった平野進也兼任コーチ(中央)

平野兼任コーチは福岡県の出身で、東福岡高-武蔵大を経て2011年に新潟に入団。橋上秀樹元監督(現・西武作戦コーチ)のもと特に配球を厳しく指導され、1年目から正捕手として抜てきされた。2年目の2012年には打点王に輝き、チーム初の独立リーグ日本一に大きく貢献した。2014年からバッテリーコーチ兼任となり、5年目の昨季は打率.362で首位打者を獲得。野手部門でリーグMVPに選出された。

昨年11月28日に野手MVPを獲得し表彰を受ける平野兼任コーチ(左)
投手MVPの間曽晃平投手(右)とともに新潟は投打の中心が退団する結果となった

平野兼任コーチは球団を通してコメントを発表し、「この度、球団とも継続的に協議を重ね、熟考した結果、現役を引退し退団することになりました。5年間プレーさせていただきましたが、ここまで野球を続けられるとは思っていませんでした。野球ができる環境を与えてくださった全ての方々への感謝の言葉しかありません。また時には優しく、時には厳しく、どんな時でも熱い応援をしてくださったサポーターの方々にも本当に感謝しています」と感謝の言葉を綴った。また今後については「未定」としながら、「一ファンとして応援させていただくと同時に、ルートインBCリーグがますます発展していくことを願っています」と結んだ。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


◎新潟を愛し、最後まで悩み続けた平野◎

昨シーズン終了直後から平野は現役を続けるかどうかでずっと悩み続けていた。27歳という年齢、タイトルを獲得してもNPBドラフト会議で指名されないという事実・・・自らの将来を考え、一度は秋の時点で「引退」を口にした。しかしチームの中心選手でもある平野に対し、球団は強く慰留した。既に沢田泰輔、仲村竜之介という2人の捕手の退団が決まっており、平野が退団となれば捕手全員が入れ替わる形となる。何よりBCリーグ内でも屈指の強豪球団となった新潟において、平野が果たしてきた功績や役割を最も評価していたのは球団だった。「後継捕手の育成も含め、新潟に残ってほしい」と慰留し、「納得いくまで考えてほしい」と平野の返答を待つ姿勢を示した。

その頃、平野は揺れ動く心境を吐露した。「大学を卒業する時に、どこにも行けなかった自分を新潟アルビレックスBCというチームに『拾って』もらった、そして野球選手としてここまで育ててもらった新潟に感謝と恩義を感じている。ただもう1年やるからには自分自身、選手としても全力で臨まなければサポーターに失礼になる。本当に悩んでいます」・・・人一倍、チームに対して責任感の強い平野。新潟というチームを思えばこその苦悩がそこにはあった。

2011年、新入団にも関わらず捕手として起用された。野村克也氏のもとで薫陶を受けた橋上秀樹監督(当時)がその頭脳に光る才能を見出した。配球について毎試合厳しい指導を受けた。時には涙を見せた。「自分の至らなさに悔しくて、野球をやってきて初めて泣いた。1年目に受けた指導が野球選手としての自分自身の全てを作っている」と後に振り返っている。勝負強い打撃と頭脳的な配球は「“頭”でNPBを目指すことができる捕手」とリーグ関係者が絶賛するほどだった。2011年以降、新潟が歩んだ「Vロード」は平野なしでは考えられなかった。

13日、平野は球団幹部と新潟市の球団事務所で話し合いに臨んだ。平野に続く捕手の育成が大きな課題となっている球団からは、今季は若手中心の捕手起用方針であること、その若手の指導と攻撃の軸としての期待を伝えられた。ただ平野は「プレーヤーとしても指導者としても中途半端な形になるのではないか」という気持ちがぬぐえなかった。常に全力プレーを心掛けてきた平野は「自分自身、プロとしてサポーターの前で恥ずかしくないプレーをできるのかどうか」を自問自答し続け、最後の最後に「現役引退」と「退団」を選択した。平野自身の思いも、球団が平野に求める期待も、どちらが正しい、間違っているという類のものではない。ただ交わらなかっただけである。球団は平野の功績に最大級の敬意を表し、平野は球団に感謝の意を示した。

去就について結論を出したばかりで、自身の今後について平野は「全くの未定」と話す。ただ「いずれは指導者の道に進みたい」との夢も持っている。独立リーガーも学生野球資格回復が可能になり、「年末には講習を受けたい」との意欲をみせる。いつか、いずれかの場所で、指導者として平野が作るチームを見てみたいし、今後にもエールを送りたい。

間曽に続き、平野という“黄金期”を支えてきたバッテリーが抜けたことで、新潟の、1つの「時代」が終わった気がした。新潟アルビレックスBCは今年、球団創設10年目を迎える。“平野退団”のショックを乗り越え、次の「時代」を築くために、チームも新たな一歩を踏み出さなければならない。

(文/岡田浩人 敬称略)


【社会人野球】新生バイタルネットが始動 佐藤新監督「新たな歴史を作る」

社会人野球のバイタルネット(新潟市)は13日、新潟市中央区のハードオフ・エコスタジアムの室内練習場で全体練習を開始し、2016年シーズンをスタートさせた。昨年11月に就任した佐藤英司新監督(37)が掲げた今年のスローガンは『Let’s get started(さあ、始めよう)』・・・「新たな歴史を作ろう、という意味を込めた」という新指揮官のもと、昨年出場できなかった全国の舞台での飛躍を目指す。

佐藤英司新監督(中央)のもと新たなスタートを切ったバイタルネット

バイタルネットは新潟市に練習拠点を置き、都市対抗3回、日本選手権6回の出場を誇る北信越地区の社会人野球チームの強豪。しかし昨季は夏の都市対抗と秋の日本選手権の出場を逃し、三富一彦前監督が「世代交代を図りたい」と退任。11月に野球部OBである佐藤英司氏が新監督に就任した。

巻き返しを期す2016年初となる全体練習ではダッシュなどの基礎体力強化の練習の後、投手陣はキャッチボールとブルペン投球、野手陣はティー打撃とマシン打撃などのメニューで汗を流した。

短距離ダッシュで汗を流すバイタルネットの選手たち


ブルペン投球をおこなう5年目の江村知大投手(長岡高-早稲田大)

佐藤監督は「監督としては1年目となるが今年絶対に結果を出すという気持ち。具体的には都市対抗、日本選手権への出場と全国の舞台での2勝以上が目標。投手出身だった三富前監督と違い、自分は野手出身。特に走塁面での細かい部分で積極的に相手にプレッシャーを与えられる野球を採り入れたい」と意気込みを示した。

バイタルネットは3月にキャンプをおこない、4月上旬のJABA静岡大会を皮切りに各大会で公式戦を戦いながら5月の中旬から始まる都市対抗予選に照準を合わせる。7月の都市対抗、11月の日本選手権という全国大会への出場と勝利を目指す。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


【イベント】カメラマン武山智史さんが写真展 「高校野球の仲間は一生の宝物」

長岡市出身のフリーカメラマン・武山智史さんの初の写真展『グラウンドの主役たち』が8日、9日の両日、長岡市のアオーレ長岡で開催された。大勢の高校野球ファンが会場を訪れ、武山さんの作品に見入っていた。

故郷で初の写真展を開催したカメラマンの武山智史さん

武山さんは長岡市出身の35歳で。長岡向陵高校では野球部に所属した。高校卒業後、専門学校を経て日刊スポーツ写真部でアルバイトを経験。その後、長岡市出身のスポーツライター小林信也氏に師事し、現在は都内在住でスポーツ現場を中心に雑誌などで活躍しているほか、毎年夏にベースボール・マガジン社から出版される『高校野球・新潟大会展望号』のライターとして県内の各高校を精力的に取材している。

写真展では新潟県内の高校を取材した際の部活動の写真29点が展示されたほか、『展望号』での取材時の集合写真のスナップなどを見ることができた。9日午後からは武山さんによるトークショーもおこなわれ、高校生や野球ファン、カメラファンで会場が埋まった。武山さんは写真撮影の上達方法について「撮影の前にイメージを持つこと、いい作品を見て真似をしてみることが大切」と話し、「きょうも野球部の時の仲間が駆け付けてくれた。高校野球で大切なのは仲間の存在で一生の宝物」と高校野球の魅力を話した。

9日午後からは武山さんが写真と野球への思いを語るトークショーも開かれた

武山さんは「大勢の方から足を運んでいただき嬉しかった。今後も取材機会を作って新潟県内の野球部を回って写真を撮り、毎年のように写真展を開催できれば」と感想を話していた。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


【小中学硬式】今季の安全と必勝を祈願 新潟少年硬式野球連盟

新潟少年硬式野球連盟に所属するリトルリーグ、シニアリーグの合同の安全祈願が9日、新潟市中央区の白山神社でおこなわれ、新潟市内のリトル5チーム、シニア5チームの選手や指導者ら約250人が2016年シーズンの安全と大会での必勝を祈願した。

今季の安全と必勝を祈願するリトルリーグ、シニアリーグの選手たち

毎年、新年におこなわれる恒例行事で、関係者が神前に玉ぐしを捧げた。祈願を終えた新潟シニアの韮澤雄也主将(14・堀之内中2年)は「今年こそ去年先輩たちができなかった日本一を自分たちの代で成し遂げたい。主将としてチームを勝利に導く1本、勝利に導く守備をしたい」と力を込めた。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


【イベント】8、9日に長岡市出身のカメラマン武山智史さんの写真展 アオーレ長岡

長岡市出身で新潟県の高校野球現場を長く取材しているフリーカメラマン・武山智史さん(35)の初の写真展が、8日と9日の2日間、長岡市のアオーレ長岡で開催される。写真展のタイトルは『グラウンドの主役たち』。「高校野球は強豪校も無名校も関係なく選手が主役」と語る武山さんが写真を通して故郷の球児たちにエールを送る。

8、9日と長岡市のアオーレ長岡で開催される写真展の告知ポスター

武山さんは1980年生まれで長岡市出身。自身も子どもの頃から野球を始め、長岡向陵高校では3年夏に3回戦で加藤健選手(現・巨人)擁する新発田農業高校と対戦し惜敗、最後の打者となった。高校卒業後、専門学校を経て日刊スポーツ写真部でアルバイトを経験。その後、長岡市出身のスポーツライター小林信也氏に師事しながら、カメラマン、ライターとして腕を磨いた。2006年からは毎年夏にベースボール・マガジン社から出版される『高校野球・新潟大会展望号』のライターとして県内の各高校を精力的に取材。練習中の何気ない球児の仕草や勝負の瞬間をとらえる写真は高く評価されている。現在は都内在住で、スポーツ現場を中心に雑誌などで写真や記事を発表し続けている。

武山さんが撮影した写真 球児の感情が伝わってくる作品は高く評価されている

写真展は8日(金)、9日(土)の2日間、アオーレ長岡の市民交流ホールDで開催される。時間は午前10時から午後7時までで入場は無料。武山さんの作品29点が展示される予定。

武山さんは「100年の歴史がある高校野球は日本人の文化の一つ。ただ高校野球イコール『甲子園』や『プロ野球選手予備軍』ではない。球児にとっての日常は日々の練習や練習試合であり、その学校のグラウンド。球児1人1人が『主役』という思いを感じ取っていただきたい」と話している。

※9日(土)午後1時から、武山さんに新潟野球ドットコムの岡田浩人が写真や新潟県内の高校球児にかける思いなどをお聞きするトークショーを会場内で開催いたします。入場無料です。野球撮影のポイントなどもお聞きします。よろしければぜひお越しください。

(文/岡田浩人 写真提供/武山智史さん)