第134回北信越高校野球・新潟県大会(春季県大会)は15日、長岡市悠久山球場で決勝戦がおこなわれ、新潟明訓が11対10、9回逆転サヨナラ勝ちで北越をくだし、12季ぶり(春は6年ぶり)13回目の優勝を飾った。優勝した新潟明訓と準優勝の北越の2校は6月4日から福井県で開催される北信越大会に出場する。決勝戦前におこなわれたシード順位決定戦では長岡大手が11対5で長岡工に勝利し、夏の選手権新潟大会は第3シードが長岡大手、第4シードが長岡工に決まった。
決勝戦
9回裏、新潟明訓が2点差の2死満塁から栗山謙主将(3年)が左越サヨナラ打放つ
満塁の走者一掃、逆転サヨナラ勝ちで優勝を決め喜ぶ新潟明訓ナイン
◎15日の試合結果◎
<決勝戦>
新潟明訓11-10北越(9回サヨナラ)
北越 302 310 100 =10
明訓 021 000 314× =11
→新潟明訓が2010年春以来の優勝
(バッテリー)
北越:玉木、小林、江村-皆川
明訓:遠藤、高津、廣田-中村
(本塁打)
北越:小杉(1回・2点)
明訓:秋葉(7回・ソロ)
新潟明訓の先発⑪遠藤龍一投手(3年) 2回3失点の内容だった
北越の先発⑪玉木葵投手(3年) 5回途中までで3失点
3回裏、新潟明訓は2死1、2塁から大﨑海渡選手(3年)の適時打で追い上げる
新潟明訓①高津大嗣投手(3年) 3回から今大会初登板も2回を投げ5失点の内容
4回表、北越は渡邊蓮選手(3年)の犠飛などで計3点を追加 中盤リードを広げる
新潟明訓は5回から⑰廣田祥一朗投手(3年)が登板 粘り強く投げ逆転劇につなげた
7回裏、7点差を追う新潟明訓は4番・秋葉悠選手(3年)のソロ本塁打で流れを変えた
9回に逆転打を放った栗山謙主将(3年) 今大会打撃不振も最後に大きな一打を放った
今大会、日本文理、中越を破る原動力となった江村投手 最後に力尽きたが夏へさらなる成長を誓った
◇新潟明訓・本間健治郎監督の話◇
「前半しんどい流れになってしまったが、中盤以降、投手の廣田が頑張り、捕手の中村が丁寧にリードしてくれた中、チャンスがつながった。大きい流れが行ったり来たりの中、最後までワンチャンスを逃さないで9回まで行く集中力があった。(逆転サヨナラ打の栗山主将は)ここまで苦しい打席が続いていた中で守備では頑張っていたし、今大会を象徴する場面で全員でつないで栗山まで回した結果で、それに応えられた栗山の強さも立派だと思う。(9回の場面で監督から栗山主将に言葉は?)自分自身で集中していたので邪魔しないようにした。勝負強さを持っている選手たち。(久々の優勝旗で)うれしい。今まで負けてきた選手も決して弱かったわけではなかったが、優勝させてあげられなかった。選手たちが自分たちがやってきたことが、こうやればつながるというものが形に残ったのが大きい。(チームの強みと課題は?)チームは特別にこれという強みというものはない中、トータルで底上げしようとやってきた。最後まであきらめないゲームをやり切るチームでい行きたい。北信越大会で県外のレベルの高いチームとの対戦の中、投手陣をもう1つ高いレベルで投球できることを課題にしたい」
◇新潟明訓・栗山謙主将の話◇
「とてもうれしい。(最後の一打は)インコース低め。今までと違った感触がした。点を取られてもイニングの合間に『我慢しろ』と言っていた。9回のピンチを乗り切ったことで流れが明訓に来ていると感じていた。自分に回ってきたら気持ちだけは負けないと思っていた。自分で決めてやろうと思った。(打撃不振で)チームのみんなに迷惑をかけてきた。自分が打てなくてもチームは勝ってきたので、仲間に感謝しなければならないし、最後に打てたのも仲間のおかげ。冬場はチームワークをしっかりするためミーティングを重ねてきた。去年秋は自分が自分がとなっていた。気持ちですれ違う面が多かった。今大会はチームみんなで勝つこと、打線はつなぐことを意識し、守備は声をかけて守ることを心がけた。逆転劇はチームワークが秋よりもよくなってきた結果だと思う」
◆北越・小島清監督の話◆
「(しばらく考えて)ああいうこともあるんだなということが正直な気持ち。(江村投手は)代わったイニングで3点は取られたが球自体はそんなに悪いと思わなかった。失策で点を取られていて、球がとらえられている感覚はなかったが、最終回は真っ直ぐ一本で張ってきたところを見事にとらえられた。(7回からの登板は)本当は玉木の後にもっと早く出す予定だったが、小林の調子がブルペンで見る限り球威が上がってきていたので夏へ向けて経験させたいと思っていた。最後はエースに任せようと残り3回で登板させた。攻撃面では思った通りに相手投手は攻略できていた。(準優勝について)最高の負け方だった、夏に向けて。一番悔しい思いをさせてもらった。夏の優勝はもっとプレッシャーもかかる。残りの3イニングは投手だけでなく野手も浮き足立ったところもあったし、私自身もあった。チーム全体の意思の決意がどれだけ必要か確認できた。(準決勝はリードして)気持ちが緩んでいた部分があったかもしれないが、きょうは緩んだ部分は一切感じなかった。一発で流れが変わるのが高校野球。7回の(秋葉選手の)本塁打で空気が変わり、明訓さんが息を吹き返してきたのを感じた。そこでも粘れる強さが今一度必要で確認しなければならないところ。(今大会は)チーム力があるということは確認できたが、去年秋と同じようにサヨナラ負け(※3回戦の新潟商戦で逆転負け)という結果で、勝ち切ることの難しさを確認できたので、さらにチームの強化につなげられる負けにしたい」
◆北越・江村伊吹投手の話◆
「秋と同じ形で負けたので、味方が援護してくれた中で、自分に代わってから8点取られたのは情けないと思う。(準決勝で138球を投げ連投になったが)味方が点を取ってくれた中で大丈夫だろうという(心の)余裕はあったが、そういう弱みが出たのかなと思う。(秋葉選手の本塁打は)チェンジアップが打たれた。最後(サヨナラ打)もチェンジアップ。今まで使ってきた球がきょうはうまくいかず、もう少し工夫しなければと思った。調子自体はきのうも投げたが、そこまで重い感じではなかった。ただ変化球は切れていなかった。みんなが後押ししてくれたのに点を取られてしまったのはエースとしてみんなに申し訳ない。(最後に打球が抜けた時)また秋と一緒だなと思った。同じレフトオーバーだったので。点を取ってくれたみんなに申し訳ない。(春を振り返って)まだまだ全然自分の力を出すことができなかった。もっと調子を上げていかなければいけないし、北信越大会もあるので、そこに向けてこの負けをしっかり受け止めて練習していきたい」
<シード順位決定戦>
長岡大手11-5長岡工
長工 004 010 000 =5
大手 101 006 21× =11
(バッテリー)
長工:黒坂、阿部、反町-小川
大手:番場、佐藤、橘-浅野
長岡工の先発①黒坂啓太投手(3年)
3回表、長岡工が小林君平選手(3年)の右前適時打で逆転 この回計4得点
6回裏、長岡大手は4番・上村直也選手(3年)の満塁走者一掃の二塁打で逆転
◇長岡大手・鈴木春樹監督の話◇
「5回まではいい試合運びではなかった。そこで少し喝を入れた。選手の目の色が少し変わった。今は合宿中で、きのう負けて少しモチベーションが下がる中で、テスト勉強をしていて、きょうも帰ったら勉強をする。日常生活のスタイルを崩さずきょうも戦えた。大手高校らしさが出た。夏へ向けて前半の失点を少なくしなければいけないし、大会を通して選手1人1人の課題、チームの課題を見ることができた。北越、日本文理、中越、新潟明訓の牙城を崩していくには、いい試合をして終わりではなく、一歩先んじて乗り越えていかなければいけない。それを念頭に置いて2か月どう強化するか、生徒たちと一緒に考えていきたい。(2008年の県央工監督時代も春ベスト4で夏に甲子園初出場だったがあの時のチームと比較して?)選手が私に負けないという意味では似ている。(エースの)南田(大輝投手)は性格的にも古村(祐也投手)に性格的にも似ている」
◆長岡工・渡辺将史監督の話◆
「選手には試合前、『春の大会は終わった。これが夏の大会へ向けての準備の初戦だ』と話していた。3年生の2人(阿部、反町)の投手は夏に戦力になってもらわなければ困るので経験させた。もう少し普段は自分の投球ができるのだが、こういう試合で自分の投球ができないのは何かが足りないということ。それを夏までに選手とやり直さなければと感じた。2人だけではなくチーム全体のこと。野手はきょうも無失策で試合をできているので、守備の精度を上げること、打つ方ももう一度立て直し。秋に糸魚川高に負けて、下から這い上がっていくぞという春の大会で、一冬かけて1つずつ積み重ねてきた。選手がこれから5、6月、そして7月に向けてどう変わっていくか、人間的に大人になってくれるか、非常に楽しみにしている」
(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵)
驚いた!この逆転劇!それほど強打の選手はいないのによく粘って攻めた!あの点差をひっくり返すなんて伝統校の新潟明訓だ!選手のレベルと士気が高いのだと思う!