甲子園の初戦に勝利した日本文理の2回戦の相手は宮城・仙台育英に決まりました。この2校の対戦について、この兄弟はどう見ているのだろう、とふと思い立ちました。柏崎市出身で、2009年夏の日本文理の甲子園準優勝メンバーである高橋隼之介さん(25)と、2歳年下の弟で2012年夏に仙台育英の甲子園ベスト16入りに貢献した高橋竜之介さん(22)の兄弟です。7月に大阪に転勤となった隼之介さんと、仕事のため大阪入りしている竜之介さんの2人に話を聞きました。
日本文理OBの高橋隼之介さん(左)と仙台育英OBの弟・竜之介さん
兄の隼之介さんは2009年夏の甲子園で2年生遊撃手として活躍。決勝では堂林翔太選手から本塁打を放つなど、新潟県勢初の準優勝に貢献しました。弟の竜之介さんはその時、中学3年生。「甲子園で活躍した兄と比較されるのを避けたかった」と県外の仙台育英に進学し、2012年夏の甲子園では一番・遊撃手として3試合で打率5割をマークしました。
隼之介さんは「日本文理の大井道夫監督も、仙台育英の佐々木順一朗監督も、ともに早稲田大のOBで、練習試合でも親交がある。互いによく知っているチーム同士で、両監督がどういう采配をするのかが楽しみ」といいます。
3年間を仙台育英で過ごした竜之介さんは「仙台育英は『自分たちで考える』という野球。常に選手同士がアドバイスをし合って高め合う。練習時間は短いが、練習の中でいかに質の高い練習をできるかをそれぞれが考えているのが強さの理由」と話します。
2人はともに12日に行われた甲子園球場での仙台育英戦と日本文理戦の2試合を観ました。
隼之介さんは「仙台育英は打者がどんどん振ってくるイメージ。日本文理とチームカラーはほぼ一緒だと思う」と分析。竜之介さんは「お互いに“打ち勝つ野球”をするチームで、日本文理は『つなぐ野球』、仙台育英は『破壊打線』…ある程度点を取られることを覚悟しながら、点を取っていくスタイルは似ている」と話し、「似たチーム同士」の対戦だという見方で一致します。
その上で、隼之介さんは「日本文理はきょうの1回戦で、いい意味で甲子園の空気を掴んだはず。5~6点は取られることを覚悟した上で、それ以上の点数を取るような勝負をしてほしい。どちらが先制点を取るかで流れが変わる。初戦を勝った後の、ここからの過ごした方をどうするかでもう戦いは始まっている。大井監督の有終の美を飾るべく一戦必勝でやってほしい」と後輩にエールを送りました。
一方の竜之介さんは、「組み合わせが決まった時は鳥肌が立った」と対戦を楽しみにしている様子。「新潟県出身ですがどちらを応援しますか?」という記者の(野暮な)質問に、「もちろん仙台育英です。母校ですから」と笑顔で応えました。新潟県勢と宮城県勢が甲子園で対戦するのは初めて。球史に残るような戦いとなることを期待したいと思います。
(取材・文/岡田浩人)
大方の予想では、仙台育英がややリード・・そんな空気が感じられますが、日本文理の「甲子園で失う物は何もない!」という開き直りが、良い方に出て欲しいと、願っております。