「第100回全国高校野球選手権・新潟大会」は23日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで準決勝の2試合が行われ、新発田と中越が決勝に進出した。新発田は1958年以来60年ぶりの決勝進出(富山県と1枠を争った北越大会には1965年に出場)で、勝てば春夏通じて初の甲子園出場となる。中越は4年連続の決勝進出で、勝てば2年ぶり11回目の夏の甲子園出場となる。決勝は24日(火)13時から同スタジアムで行われる。
146球で完投した新発田のエース①当摩信之介(中央)を労うチームメイト
試合後に健闘を称え合う中越のエース①山本雅樹(中央) 150球を投げ完投
◎23日の準決勝の試合結果◎
<ハードオフ>
①新発田7-2十日町
十日町 000 200 000 =2
新発田 030 002 11 × =7
→新発田が60年ぶり決勝進出
(バッテリー)
十日町:中町、長井-西川
新発田:当摩-鈴木
(二塁打)
十日町:長井(7回)
(三塁打)
十日町:南雲(4回)、上村(4回)
新発田の先発①当摩信之介 1、2回は三者凡退でスタート
2回裏、新発田が1死2、3塁から金子光遵がスクイズ(三ゴロ送球失策)
本間惇が生還し先制
2回裏、新発田はさらに九番・田内龍乃介の左前適時打で1点を追加 この回3得点
4回表、十日町は無死1、3塁から三番・上村拓巳が右中間三塁打を放つ
南雲に続き、一塁走者の村山凜も生還 2点を返す
6回裏、新発田は1死2塁から金子の中前適時打で内野安打の当摩が還り1点を追加
この回、さらに失策でもう1点を追加する
9回表、十日町は小幡亮太、島田優太、長井(写真)の3本の安打で満塁に
17年ぶりの決勝進出はならなかったが、確かな力を見せた十日町
学校だけでなく地域の子どもたちの声援を背に受けて戦った
◇新発田・菅勝監督の話◇
「もう1試合、このエコスタで、それも決勝という舞台で試合ができることに喜びを感じている。十日町の投手陣がよく、何とか先制点を取りたかったので、ここまであまり出していなかったスクイズでなりふり構わず取りにいった。1点差になった後、次の追加点が先に取れたのでこちらのペースかなと。攻撃には自信を持っているが、よくやってくれた。上位下位にムラのない打線はウチの強み。(金子は)観察力の鋭い子。いい働きをしてくれた。きょうは効率のいい点の取り方だった。春の大会は残塁が多く、それを課題にしてきた。(当摩は)連戦の中で力の入れ具合など投球を覚えた感じがある。バッテリーが頼もしく感じたし、これはいけると思った。(スタンドの応援は)本当に頼もしい。すごいパワーをもらえる。(決勝戦だが)甲子園はちらつくと思うが、エコスタで決勝ができる喜びを噛み締めながら戦いたい。泣いても笑ってもあと1試合。全力で臨みたい」
◇新発田・当摩信之介投手の話◇
「きょうは調子がよくなく、真っすぐが走っていなかったので、その分、変化球で打ち取ろうと話していた。スライダーが低めに集まったので打ち取れた。リズムよく投げられるのは守備のおかげで感謝している。リードしていたので、野手から『1点オーケー』などの声をかけてもらい、自分らしく投げることができた。先制点を取ってくれるのがこのチームのいいところ。先制点が入ると投げていて楽なのでありがたい。(次は決勝戦だが)ここまで来れたのは夢のようだが、あと1つ。全員で決勝に臨みたい。ここまで来たらあと1つ勝って、憧れの甲子園に行きたい。真っすぐで勝負したい」
◆十日町・渡辺義彦監督の話◆
「中町がやっぱり体が重そうだった。ヒット数は一緒だと思うが、エラーの数の差が序盤に出た。2点を入れて、無死3塁であそこで1点入らなかったことで流れを相手にやってしまった。主導権を握れなかったのが大きかった。3点ならまだいけると話していた。ただ長井がストライクとボールがはっきりしていた。悪いパターンが出た。新発田の当摩くんは低めに丁寧に放っていた。その差が出た。(相手のスクイズは)警戒していなかった。3年生が1年秋から監督になり、自分自身の母校で後輩の感覚で可愛がってきた。秋春ベスト16からベスト4にいけたことは評価できるが、優勝を狙っていた選手たちなので不本意だったと思う。ただ、よく頑張った。準々決勝も地元の小学生が応援に来ていた。もともと野球が盛んな地域。これを機にまた狙えるチームができればと思っている」
◆十日町・中町智洋投手の話◆
「疲れは少しあった。ただ最後は気持ちだったので、長井に交代するまで気持ちで投げた。(代打を告げられて)後は任せたという気持ちだった。自分がダメな時は長井がカバーしてくれて、お互い支え合ってきた。高め合ういい仲だった。(同じ左腕だが)2人いろいろと違う面があり、よく話しもしてきた。(今後は)大学で野球を続けたいと思っている。次は大学で頑張りたい」
◆十日町・長井悠太投手の話◆
「真っすぐが入らなくなり、ストライクを取りにいった変化球を狙い打ちされた。相手の打者が上だった。1年秋から渡辺監督とフォームを相談し、工夫し、二人三脚でやってきた。最初は全くストライクが入らず、フォームを変えながら体重を増やし、下半身を鍛えて今に辿りついた。監督の指導でフォームを変えなければ今も投手をやっていたかどうかわからないくらいだったので感謝している。(中町)智洋が前回完封して、いつでも行ける準備はしていた。3回から行くときも落ち着いていた。ただ結果的に打たれてしまった。(中町とは)今まで左の二枚と言われてきて、普段は仲がいいが、野球ではどちらも背番号1が欲しいわけで、お互いに高め合えるいい関係だった。(今後は)野球は大学に行ってやるつもり」
②中越3-2新潟産大附
産附 000 200 000 =2
中越 000 003 00 × =3
→中越が4年連続決勝進出
(バッテリー)
産附:石橋-梨本
中越:山本-小鷹
(二塁打)
産附:間島(4回)、石橋(9回)
中越:坂井(1回)、小鷹(6回)、広瀬(6回)
中越の先発①山本雅樹
4回表、新潟産大附は1死満塁から間島慎之介の左線二塁打で2点を先制
6回裏、中越は四番・小鷹葵の右中間フェンス直撃の適時二塁打で1点を返す
新潟産大附は2回戦でケガをした①飯利秀樹(左2人目)が伝令役を務めた
6回裏、中越はなお1、2塁から山田叶夢の左前適時打で同点に追いつく
6回裏、中越は広瀬航大(1年)が右前適時二塁打で逆転に成功
四球で出塁の安達大和が生還
9回、1死2、3塁のピンチを招いた中越の山本だが、後続を抑えた
4年連続で決勝進出を決めた中越 2年ぶりの甲子園出場へあと1勝
惜敗の新潟産大附 マウンドを守った石橋(右3人目)は泣き崩れた
第2シードの関根学園を破るなど今大会の台風の目となった
◇中越・本田仁哉監督の話◇
「非常に厳しい試合だった。ただ、こういう試合を乗り越えてチーム力、勢いは増したのかなと思う。きょうは先制点を取れれば自分たちのペースになるから、3回を集中していこうと言ったが、相手の力に押され無得点だった。その後、先制され苦しかったが、それ以降は1点差の厳しい展開になるから落ち着いて戦おうと話した。我慢して焦らず、狙い球を絞ってということを徹底できた。自分に何ができるかという中で、長岡のセーフティーバントは大きかった。勝ち上がっていくには下級生の力も必要。広瀬がそういう存在になっている。大きな一本だった。(山本は)調子自体は決してよいものではなかったが、暑い中で相手を見ながら、要所要所力を出し切ってくれた。(決勝戦へ)きょうの試合を見てもわかるように、ここまで来るとどういう展開になるかわからないのが野球であり準決勝と決勝。しっかり状況を見て練習でやってきたことを落ち着いて出せるよう、勝負所では全員で力を出し切りたい」
◇中越・広瀬航大選手の話◇
「(6回は)山田さんが繋いでくれて、もう1点取って逆転したいという気持ちで、3年生のために一生懸命やることだけを考えていた。(打ったのは)インコースの真っすぐ。自分の好きなコースで思い切り振り抜いた。プレッシャーはそんなに感じていなくて、1年生なりに元気よく声を出して気持ちで負けないようにしている。(決勝戦へ)きょうと同じように僅差で緊張する場面が続くと思うが、相手をよく見てプレーしたい。甲子園で勝つことが目標。その中に県大会がある。決勝と思わず、地に足をつけて戦いたい」
◆新潟産大附・吉野公浩監督の話◆
「1点差でワンチャンスと思っていたので石橋を代えるつもりはなかった。石橋がマウンドを降りたら負けゲーム。強い気持ちを持っている子。疲労もあったと思うが、この暑い中、よく頑張って投げてくれた。(9回の)最後の打席でもよく打ってチャンスを作ってくれた。今回は3年生1人のほかは、1年生4人、2年生4人がスタメンで、今回のトーナメントは勢いや運が味方して勝ち上がれた。その中で実力も試合を通してつけることができた。もう1回、新チームは鍛え直して、この舞台に帰ってこれるように頑張りたい」
◆2回戦でケガも伝令役を務めた背番号1・新潟産大附の飯利秀樹投手の話◆
「試合には出たかったが、医者からはOKをもらえなかった。伝令だけでも監督に任せたと言われてうれしかった。ことしの春に中越にコールドで負けて、その悔しさをバネに頑張ってきたので、結果的に負けたことは悔しいが、いい勝負ができて楽しかった。みんなにここまで連れてきてもらって悔いはない。(伝令では)石橋にはバックを信じて頑張れと言った。病院にいる時はつらかったが、みんなから早く戻って来いとメールが来て嬉しかった。(今後は)まだ考えていないが、できれば野球を続けるか、野球に携わりたい」
◆新潟産大附・石橋成哲投手の話◆
「3年生の気持ちも背負って投げた。(9回は)自分が打たれて点を取られたので、自分が打って返そうと思っていた。(疲れは)コーチから温泉に連れて行ってもらったり、家で兄からマッサージしてもらったりして、ここまで体がもった。この大会は低めにボールを集めることができ、よかった。毎試合先発したが、守備のいいプレーで救われることが多く、自分だけの力ではなかった。(今後の目標は)春も夏も中越に負けて悔しいので、中越に負けないよう、新チームになった後も気持ちを切り替えてチーム一丸となって頑張りたい。秋の大会も挑戦者の気持ちで臨みたい」
◎24日の決勝戦の試合予定◎
<ハードオフ>
新発田(13:00)中越
(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 撮影/嶋田健一)
高校軟式野球県大会も本日大原ベーマガスタジアムにて開催、3位決定戦と決勝戦が行われます。