「第100回全国高校野球選手権・新潟大会」は24日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで決勝戦が行われ、中越が10対1で新発田をくだし、2年ぶり11回目の夏の甲子園出場を決めた。中越は3回に坂井翔太選手の犠飛で先制すると、その後連続適時打で3点をリード。6回には坂井選手の適時二塁打などで2点を加えると、8回には四番の小鷹葵主将のソロ本塁打など4点を入れ、大きくリードした。投げては先発の山本雅樹投手が新発田打線を相手に6安打、11奪三振、1失点の好投で完投。県内最多となる夏11回目の優勝を飾った。全国高校野球選手権大会は8月2日に組み合わせ抽選が行われ、5日に阪神甲子園球場で開幕する。
2年ぶり11回目の甲子園出場を決め、歓喜に沸く中越の選手たち
◎24日の決勝戦の試合結果◎
<ハードオフ>
中越10-1新発田
中 越 003 002 041 =10
新発田 000 000 010 =1
→中越が2年ぶり11回目の優勝
(バッテリー)
中 越:山本-小鷹
新発田:新田、大竹、当摩、中澤-鈴木
(二塁打)
中 越:安達大(3回)、坂井(6回)
(本塁打)
中 越:小鷹(8回・ソロ)
新発田の先発は⑪新田翔星(2年) 今大会3試合目の登板
3回表、中越は1死3塁から三番・坂井翔太の左犠飛で長岡真男が還り、1点を先制
3回裏、新発田の二番・中澤透大が中前安打で出塁 ガッツポーズ
5回表、中越が2死から死球、四球で1、2塁 新発田の当摩がブルペンへ
5回表、2死満塁となりマウンドに上がった新発田①当摩信之介
後続を三振に抑え、ピンチを切り抜ける
6回表、中越は2死2塁から二番・品田悠太の中前適時打で1点を追加
準決勝に続く連投となった中越①山本(左)だがスコアボードに0を並べていく
8回裏、新発田は1死1、3塁から中澤透大の内野ゴロの間に、田内龍乃介が生還1点を返す
60年ぶりの決勝進出も悲願の甲子園初出場はならなかった新発田
エースの当摩を中心に投打で力強さを持った好チームだった
◇中越・本田仁哉監督の話◇
「[試合後のお立ち台で]感動している。とてもうれしい。小鷹葵という気持ちの強い主将が3年生をまとめて、強いチームを作ってくれた。100回という記念の節目の大会で、学校、卒業生、身近で支えてくれる方、地域の方、目に見えないものに支えられて勝たせてもらった。昨年の夏と秋、悔しい思いをして、どうすれば勝てるのか…個を強めて、個々が繋がり合って、感性で勝負するチームを作ってきた。(甲子園では)100回記念大会に出場できることをうれしく思う。新潟県を背負って、3年生が1年生の時に味わった甲子園での悔しさを、勝利で恩返ししたい。[閉会式後の取材で]こういう点差の開いた決勝は初めてだったが、最後まで気が抜けない、勝ったとは思えなかった。最後の三振で終わって、ああ勝てたんだとうれしかった。(山本の先発は)昨日終わったところで『行けます』ということだったので決めた。いい意味で淡々と、初回から気持ちを抑えて試合を作ってくれた。もともと球の力はある投手だったが、山田(叶夢)が離脱した中で、春から1人で1番を背負ってよくここまでチームを持ってきてくれた。積み重ねた経験がきょうに生きた。春もよくない場面があったが、積み重ねた経験値でいい投手になってくれた。(相手先発が新田くんで)正直びっくりしたが、同じ右の上手投げで、特に指示をした訳ではない。低めを見極め、ベルト付近を強く叩こうと言った。(3回の得点は)変化球が多く、スチールで2塁に行けたのは大きかった。行ける時に行けと任せていた。(小鷹は)キャプテンシーを評価している。人を大事にする人間性を持った選手。勝つために何ができるか自ら率先して行い、周りに伝えていく。素晴らしいキャプテン。(甲子園では)山本、山田の2人を整備し直し、レベルの高い打線に対して、捕手の小鷹とどう勝負するのか整理する。打力も上がってきた。伝統のバントや走塁も含め、いかに得点するかを考えて、甲子園までの準備をしたい。(監督自身4回目だが打力は過去に比べて)個々で見ると2015年は力の高い選手がいたが、打線として厚みがあるのは今年だと思う」
優勝インタビューを受ける中越・本田仁哉監督
◇中越・小鷹葵主将の話◇
「[試合後のお立ち台で]たくさんの方に応援してもらって、去年の夏から悔しい思いをしてきて、きょう勝ててよかった。プレッシャーを自分の力に変えられるように秋からやってきた。初戦から山本が9回を投げ切る中、何とか山本を楽にしてやりたくて、きょうは打線も噛み合った。自分の力だけでは来ることができなかった。みんなに感謝したい。新潟県代表として胸を張って、中越の野球を甲子園で堂々とできるように、24年ぶりに勝ってきたい。[閉会式後の取材で](本塁打は)ストレート。外野が下がってくるケースが多く、相手がマークして厳しいところに投げてくると思っていたので、長打よりもヒットをと思っていた。秋は打率が2割もいかなくて、何ができるか考えた時に長打を打つことが全てではない、自分が全部背負う必要もないと気づいた。春夏と調子が上がってきて、そういう考え方で打率が上がってきた」
優勝インタビューを受ける中越・小鷹葵主将
◇中越・山本雅樹投手の話◇
「(優勝の瞬間は)試合を終わったことを忘れていて…1人1人に集中していたので。(気がついたら小鷹主将が抱きついてきて)終わったなと思った。(きのう監督から聞かれて)決勝なので自分が投げて勝ちたかったので、投げたいと言った。最初は低めに集めることを意識して、後半は自分らしい直球で押す投球ができた。張りはあったが投げることには問題なかった。中越の1番の重みがあったが、自分のできる最善を尽くすことができた。(この大会で成長できた部分は)真っすぐで押すことができるようになった。甲子園でも自信を持って投げたい」
表彰式後に山本(右)に声をかける本田監督「春から1番を背負ってよくここまでチームを持ってきてくれた」と労ったという
◆新発田・菅勝監督の話◆
「やっぱり試合に負けたので悔しい気持ちでいっぱい。点差はついたが、選手たちはよく頑張ってくれて、ナイスゲームだったと思っている。当摩の疲労、肩の具合いは準決勝の反動が大きかった。9回を投げるのは厳しいというのがあり、最初に上げると降ろせなくなってしまうので、新田でいけるところまでと思っていた。(新田に先発を告げたのは)昨日。きょうの朝の状況を見て先発があるかもという程度だったが。立ち上がりに課題がある投手だったが、頑張って1回2回と0に抑えてくれた。新田にはいい経験になったと思う。3点までは予想はしていたが、これ以上は苦しいなと思い、思っていたよりも当摩の投入が早くなったのが残念。当摩も必死に抑えてくれた。できれば後ろ4回か3回くらいと思っていたが…。当摩がマウンドに上がったらそれは最後、そこまで総力戦で繋いでいきたいと考えていた。(守備の失策もあった)決勝の舞台で中越さんのプレッシャーに飲み込まれた部分はあるのかなと。大舞台を何回も経験している差を見せつけられた。これからウチのチームが越えていかなければいけないものを得た。山本くんも連投だったので、何とかチャンスがあるのではと思っていたが、外角のキレのある直球、スライダーがしっかり決まり、ウチの選手も手を焼いた。ナイスピッチングにやられた。小鷹くんも素晴らしい捕手というのが率直な感想。ウチの選手は普通の、公立高校の高校生。その可能性、日に日に選手が成長しているなと。こういう経験が大事だし、高校生の無限の可能性を感じさせる大会だった。(3年生へは)月並みだが、ありがとう、一緒に野球ができて幸せだったと言いたい。メダルを掛けてもらっているウチの選手を見て、誇らしく思って、熱くなるものがあった。応援にも大きな力をもらった。新発田高校がこんなにパワーのある学校だと改めて感じた」
試合後の新発田・菅勝監督とエース当摩信之介
◆新発田・当摩信之介投手の話◆
「自分たちの力が出せたことで準優勝という結果はよかったと思うが、やはり決勝戦でもう少しいい試合をしたかった。自分たちも勝てていなかったが、後輩には自分たちの経験をいかしてもらって甲子園に行ってほしい。3年間の中で一番野球を楽しめた夏だった。(中越高校には)力があるのはみんなわかっている。出し切ってもらって、甲子園で1勝、そこから上を目指してほしい。(中学からバッテリーの鈴木捕手へは)わがままを言ったり言われたり、いろいろあったが、最後にここまで勝てたのはアイツのおかげ。バッテリーを組むことができてよかった。(5回途中からの登板で)中越の打者がいいのは知っていたので、自分の調子が悪いなりになんとか逆転を信じ、あきらめないで1球1球投げた。(登板の時に大歓声があったが)そのおかげで力になり、あの回は抑えられた。肩はきのうから痛みがあって、きょうは投げられるかどうかというくらいで抑えられるとは思っていなかった。(5回途中の登板は)準備は少なくてもいい方なので、自分のボールを投げるだけと思っていた。仲間がいてくれたから投げ続けられた。(今後は)大学で野球をやりたい」
準優勝の新発田ナイン
(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 撮影/嶋田健一)
点差こそ開いたが いいゲームでした。
正直 新発田の当間君との投げ合い、
27のアウトをどう取るかというヒリついたゲームを期待していました、
当間君の悔しさたるや いかばかりのものかと心中察します。
もぅと長く見たいピッチャーでした。
暑い中 お疲れ様でした。