【BCL】6日にドラフト会議 指名待つ県出身・渡辺雄大投手

BCリーグは6日、6球団が参加してドラフト会議をおこなう。新潟県出身選手では中越高出身で青山学院大4年の渡辺雄大(ゆうた)投手が唯一、先月のトライアウトで最終テストまで残った。「地元球団が希望」と話す渡辺投手は、6日15時からのBCLドラフト会議での指名を待つ。

BCリーグのドラフト会議での指名を待つ渡辺雄大投手

◇「エリートに負けたくない」・・・NPBへの強い決意◇
185センチの長身が一度マウンドで沈む。右足を一塁方向へ踏み出す独特のクロスステップと、球の出所が見にくいサイドハンドから投じられるキレのあるボールに、各球団幹部が大きくうなづいた。先月9日と10日におこなわれたBCリーグのトライアウト関東会場で、渡辺雄大のフォームはひと際目を引いた。1回を投げ無失点でマウンドを降りた。球速は最速135キロだった。
「落ち着いていい投球ができました。久々の実戦形式のマウンドだったので」
トライアウト終了後、渡辺はほっとした表情を見せた。

中越高の出身。2009年夏の新潟大会の準優勝投手。しかしあの夏の記憶は渡辺の中に苦い思い出となって刻まれている。
決勝の相手は日本文理。後に甲子園で新潟県勢初の決勝に進出した“あの”チームだった。先発した渡辺は、降りしきる雨の中制球が定まらず、初回1死から5連打を浴び降板。この回に中越は7失点し、試合は4-12で敗れた。
「今振り返ると練習や考え方も未熟でした。足りないところばかり。うまく調整もできずに決勝を迎えたことが一番悔しい。エースとしてチームを勝たせることができませんでした」
中越に勝って優勝した日本文理は甲子園で快進撃を続けた。新潟県勢初の準優勝を果たし、新潟県中がその活躍に沸き返った。
「あの夏は正直どこに行っても文理、文理で・・・文理が甲子園で勝てば勝つほど悔しさが増しました。春の決勝は渡り合うことができたのに(文理3-0中越)、自分がしっかり投げていればと、文理の試合を見るたびに悔しさが積み重なりました」

大学は東都の名門・青山学院大に進学した。同期は甲子園で活躍した選手ばかりだった。練習でも試行錯誤を繰り返したが、なかなか出番は巡ってこなかった。
「大学3年の時に試合に出ることもできず、監督やコーチに変わったと思われないとチャンスも来ない。思い切ってフォームをサイドスローにしました」
長い手足と独特のステップ。サイドからのボールは打者から見えづらい。左打者へのワンポイント対策として「自らの特徴」をいかしたフォームを完成させた。
しかし大学では「先発完投型」が重宝される。東都での公式戦登板の機会はなかった。

独立リーグの話を聞いたのはフォームを変えた頃だった。
「先輩から話を聞いて、教師になろうかとも考えていたのですが、NPBに行きたいと考えて、NPBに近いところで野球を続けたいと思いました」

BCリーグトライアウトでその投球を披露した渡辺。その姿を見た元NPB選手である監督やコーチからは「変則の左投げで面白い。NPBを狙える素材」と高い評価を得た。プロの世界では特徴のある左投手は中継ぎ、リリーフなどで重宝される。大学では活躍の場に恵まれなかった渡辺だが、「これで球速がアップすれば十分通用する」(ある球団の投手コーチ)との評価だった。

「今はドラフトが楽しみです」
ドラフト前日に落ち着いた声で話した渡辺。
先月30日には2009年同期の中越と日本文理のメンバーがハードオフ・エコスタジアムで4年ぶりの“試合”をおこなった。渡辺も「参加したかったがどうしても日程が合わなかった」と参加できなかったことを残念がった。
ただ、BCリーグ入りすれば故郷・新潟での5年ぶりの登板も見えてくる。
「神宮では成長した姿を見せることができませんでした。だから新潟で活躍してお世話になった人たちに4年間で成長した姿を見せたいんです」
そして、力を込めてこう続けた。
「甲子園で活躍して、大学でも活躍して、NPBや社会人に行く・・・自分はそんなエリートではありません。泥くさく野球をやって、エリートに負けたくない。目標はNPBに入ること。1年でも1日でも早く上に行けるよう、一日一日、一生懸命やりたいと思います」

※BCリーグのドラフト会議は6日(金)15:00からで、インターネットで生中継される予定。
http://www.ustream.tv/channel/bcleague?rmalang=ja_JP

(取材・撮影・文/岡田浩人)


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