【高校野球】帝京長岡の新監督に芝草氏 来春就任「甲子園で勝てるチームを」

帝京長岡高校野球部監督に元日本ハム投手・芝草宇宙(ひろし)氏(50)が就任することが決まり、15日に長岡市の同校で記者会見が開かれた。芝草氏は「甲子園で勝てるチームを目指す」と意気込みを語った。監督就任は来年4月からだが、会見後は早速グラウンドに向かい、部員たちの前で「みんなで同じ気持ちになり、甲子園で勝つことを目指そう」と呼びかけた。新潟県内の高校で元プロ野球選手が高校野球の監督に就任するのは2人目となる。

来春からの帝京長岡高の監督就任が決まった芝草宇宙氏(左)と野球部長も務める浅川節雄校長

芝草氏は1969年生まれで埼玉県出身。東京の帝京高では3度甲子園に出場し、3年時の1987年夏にエースとしてベスト4進出を果たした。その年の秋のドラフト会議で日本ハムから6位指名を受け入団。NPB通算430試合に登板し、46勝56敗17セーブを挙げた。現役引退後は日本ハムコーチやスカウトを務めた。去年4月から母校・帝京高の投手指導を行うと同時に、帝京長岡高の外部コーチとして選手の指導にあたってきた。

記者会見には芝草氏のほか、芝草氏の高校時代の浅川節雄校長が同席。浅川校長が「本校はいろいろなスポーツ…サッカーやバスケットボール、空手、柔道などで強いが、保護者や近所の人から一番最後に出てくる言葉が『野球がね』といつも言われてきた。何とか払しょくしたいと思ってきたが、外部コーチで時々来るくらいでは消化不良になってしまう。お互いに話す中で監督を引き受けてもらうことになった」と就任に至る経緯を説明。

芝草氏は「これから帝京長岡を常勝軍団にしたい。甲子園で勝てるチームを目標にやっていきたい。目標として高い意識を持って取り組む。新潟に腰を据えて全力でやらせていただく」と決意を語った。

記者会見で監督就任の決意を語る芝草氏

記者会見での主な一問一答は次の通り。

Q目指すチームカラーは
芝草氏「高校野球なので、打つだけ、守り重視、というよりも、全て選手の個々の能力を持って楽しんで取り組めるようにしたい。個々の能力をいかした野球を取り組みたい」

Q新潟県の現状の高校野球をどのように見ているか
芝草氏「今は日本文理、中越が甲子園の常連になっているが、決して私たちのチームもひるむような選手ではない。ここから練習していく中で、我々が新潟県でトップになるんだという意識づけをして徹底してやっていきたい」

Q一番の目標は
芝草氏「甲子園で勝てるチームを作ること。私は教員ではなく、野球を専属で指導させていただく。指導の中でもプロフェッショナルとして教えたい。練習で取り組んでいることが結果で出なければ選手も伸びない。勝たせてあげる指導者になりたい」

Q指導で力を入れたいところは
芝草氏「高校生なので体力トレーニングは大事。ケガの防止にもつながる。正直、今年は故障者が多く出た。それを1つの課題として故障をしない体づくりを課題に、力をつけて、技術が発揮できるものを目指したい。この夏、秋と早く負けているが、個々の能力はそんなに変わらない。選手の能力を最大限発揮できれば来年から十分に甲子園を狙っていける」

Q監督就任へのいきさつを詳しく
浅川校長「私が以前(東京の)帝京高にいた時の生徒が芝草氏。去年4月に帝京高の投手指導をする話があり、月に一度くらい長岡に来てもらおうかと思った。そういう気持ちになったのは野球部の保護者が『何とか甲子園に出るチームを』という切々たる願いを受けた。(コーチとして来てもらい)去年秋に26年ぶりの県ベスト4になり、今年も何とかと思っていたが、なかなか難しかった。ここで腰を据えて、監督としてこちらに住んで、選手の面倒を見てくれるということで、選手の気持ちも違うと思う。県外からも本校に足を運んでくれる。他のスポーツが強い中、『野球がね』という言葉を周りに言わせない野球部にしたい。本人も指導者をやってみたいというのがあった中、夏の北海道のキャンプの時に、お互いに話している中で『じゃあやりましょう』という話になった。現監督はまだ若いのでコーチとして学んでもらい、いずれまた監督として独り立ちできれば」

Qこの5年間で5人目の監督となるが、芝草氏にはある程度期間を任せる形か
浅川校長「そうですね。ただ勝てなかったら代わるかもしれないが(笑)。ただ、(芝草氏の)この話っぷりを聞いたり、選手を見ていたりすると、これまでとは違う印象を受けている。」

Qプロでのどのような経験を選手に伝えたいか
芝草氏「プロでも基本は変わらない。まずは基本の部分をしっかり教えたい。ただ、経験だけでモノを言ってもいけない時代。選手から『プロの選手はこういう時、どういうふうにしているのですか』と聞かれれば、そういう話はしてあげたい。ひとつ言えるのは、プロでやっている戦術も高校生を信じていけば十分使える。高度な技術が必要だが、そこを目指して指導したい」

Q母校・帝京高が今秋の東京大会で準優勝したが、恩師の前田三夫監督といずれ甲子園で戦いたいという気持ちは
芝草氏「前田監督にはすごくお世話になり、育ててもらった。今、こういうふうに言うこともおこがましいが、ひとつの目標の中にはそれ(甲子園で対戦すること)もある」

会見後にグラウンドで部員にあいさつする芝草氏

記者会見後に早速、グラウンドに出た芝草氏は、1、2年生の部員に「みんなで同じ気持ちになり、甲子園で勝つことを目指そう」と呼びかけた。監督就任は来年4月からで、これから住居も探すことになるが、この冬も随時長岡入りし、選手の指導に汗を流すという。

(取材・撮影・文/岡田浩人)


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