【高校野球】中越が星稜にコールド勝ち 日本文理は敗退 北信越大会準々決勝

来春の選抜甲子園出場校選考の参考となる第131回北信越高校野球大会は19日、石川県で準々決勝がおこなわれ、中越(新潟1位)が9-2の8回コールドで星稜(石川2位)をくだし、準決勝に進出した。日本文理(新潟2位)は4-10で富山第一(富山3位)に敗れた。北信越地区の選抜出場枠は2。決勝進出をかけた準決勝は25日におこなわれ、中越は松商学園(長野1位)と対戦する。

中越×星稜 7回裏、中越が8番上村将太選手の適時三塁打で追加点

◎19日の準々決勝の試合結果◎
<金沢市民>
①日本文理4-10富山第一
富山第一 200 025 010 =10
日本文理 100 200 010 =4
(バッテリー)
富山第一:①梶尾、⑩川村-高島
日本文理:⑯藤塚、①八幡、③川合、⑪山口-近藤

◎戦評◎
日本文理は4投手を送り込んだが富山第一の打線を止められなかった。打線もチャンスであと1本が出なかった。
日本文理は先発の藤塚が初回に1死満塁のピンチを招くと、遊ゴロ失策などで2点を先制された。1回裏に3番荒木の三塁打で1点を返した。4回裏には八幡の犠飛で同点に追い付いた後、7番近藤の右前適時打で逆転した。
しかし、2番手で登板した八幡が5回表に走者2人を置いて富山第一の5番狭間に逆転の2点適時三塁打を浴びた。6回に再びピンチを招くと、マウンドに上がった川合が暴投後に3連打を浴びてこの回大量5失点を許した。
文理打線は8回裏に2死満塁のチャンスを掴んだが、1番星が初球をサードゴロに仕留められ得点を重ねることができなかった。

日本文理の先発⑯藤塚光二郎投手


1回裏、日本文理が3番・荒木陵太選手の適時三塁打で1点を返す


2番手で登板した八幡竜投手


4回裏、日本文理は7番・近藤友拓選手の適時打で逆転


試合終了後の日本文理ナイン 4季連続の甲子園出場は絶望的となった

◆日本文理・大井道夫監督の話◆
「初回に併殺を取れるところを(ショートが)エラーしたのが大きかった。でもしょうがない。エラーしたくてしている訳ではない。何でもないゴロだったが、精神面が出たのか・・・。自分たちのチームの力を選手たちもわかったと思う。(投手4人の継投だったが)4人ともきょうは厳しかった。打つ、投げる、守る、全ての面で夏に向けてもう1度チームを作り直さないと今の状態では来年夏も勝てない。あと1ランク、2ランクではダメ。3ランクくらい上げないと夏は勝てない」

◆日本文理・太田貴己主将の話◆
「新チームの始動が遅かった中、よく言えば北信越に来ることができたが、一方でここで終わってしまったという思い。この冬でどれだけチームを変えられるか。野球以外の面が試合に出てしまった。野球以外の面でも自分が率先して行動する姿を見せていかなければいけないと改めて思った」

◆日本文理・星兼太選手の話◆
「チームの軸とならなければならない自分がチャンスに打てず、大きな課題が残った。(8回の2死満塁で初球を三ゴロで)何とか次につなごうと思って、自分らしい積極性を発揮しようと初球から振っていった。そこで冷静さがあれば1本出せたかもしれない。(秋が終わってみて)先輩の甲子園ベスト4という結果のあと、自分たちが中心になったが上に勝ち進めなくて残念。(4季連続甲子園出場が絶望的になったが)夏に甲子園に出れるかどうか、自分たちの冬の過ごし方で変わってくる。夏を見据えて、精神面も含めレベルアップが必要」


②中越9-2星稜(8回コールド)
星稜 001 100 00  =2
中越 001 401 12× =9
(バッテリー)
星稜:①谷川、⑪前井、⑯塚田、①谷川-坂本
中越:①上村-波方

◎戦評◎
中越が中盤の集中打で逆転。終盤も小刻みに加点し、強豪・星稜にコールド勝ちした。
星稜に先制された中越は3回裏、1番入澤の中越え三塁打でチャンスを作ると2番井口の三ゴロ失策で同点に追い付いた。勝ち越しを許した直後の4回裏、7番小林弘の適時打で同点に追い付くと、8番上村の遊ゴロ内野安打で逆転。さらに9番永井、1番入澤の連続バントヒットの後、相手の失策もあり、この回一挙4得点と流れを引き寄せた。
投げてはエース左腕上村が5回以降、走者を許しながらも星稜打線を無得点に抑えた。6回以降も着実に加点した中越がコールド勝ち。過去、秋の北信越大会で3度敗れていた星稜に初めて勝利した。

中越のエース①上村将太投手 粘りの投球で星稜打線を2点に抑えた


4回裏、同点打を放った小林弘樹選手


大量得点に沸く中越スタンド


コールド勝ちで星稜をくだした中越ナイン

◇中越・本田仁哉監督の話◇
「きのうの初戦でいい投手、いい相手に勝ち切れたことでチーム力を上げることができ、きょうも先制されたが、選手が昨日以上に落ち着いていた。4回が勝ちにつながる一番のイニングだった。相手のエラーもあったが、上村の打球も井口の打球もしっかり狙いを持って自分たちの力を出せていた。(小林弘の同点適時打が)1本のヒット以上に活気づく1本だった。その勢いに乗っていけた。基本に忠実に打撃をしようと言ってきた中で、こういう相手にこういう舞台でできたのはまた自信が持てる。上村はきのうああいうアクシデント(死球)があった中で普段通りの投球ができ頼もしく思えた。全国の高校野球をリードしてきた相手にこういう形で試合ができたのは嬉しいし力になる。(準決勝の相手・松商学園は)力のある学校。ただ当初から県大会1位、北信越でも優勝し、神宮大会、選抜へというエネルギーで来ている。相手を意識せずあと2つ取るために準備したい」

◇中越・上村将太投手の話◇
「しっかり低めに投げることができた。(きのうの死球は)大丈夫。(先制されたが)味方が点数を取ってくれると信じていた。父(真人さん)が(小出高校時代に)北信越大会で星稜に負けていると聞いていたので、リベンジしてくれと昨日言われた(※真人さんは投手としてマウンドに上がり松井秀喜さんに本塁打を打たれた)。選抜、神宮大会という目標も近付いているので絶対に勝つという気持ちだった。(追加点となる三塁打は)打撃でも点が取れればという思い。この5日間で準備をしっかりして自分の投球ができるようにしたい」


◎「星稜に雪辱を」・・・父の思い 息子が叶える◎
4回裏に同点に追い付くタイムリーを放った中越の7番打者・小林弘樹。「前の打席で2ストライクから変化球を三振してしまった。3ボール2ストライクに追い込まれて変化球が来ると思った」と読みが的中。センター前へ弾き返した。その後も2安打の活躍を見せ勝利に貢献した。

実は小林の父・和徳さん(48)は長岡商2年の秋にサードとして1982年秋の北信越大会に出場。準決勝まで勝ち進み、あと1つで甲子園という試合で星稜に0-6で敗れ、選抜甲子園出場の夢を断たれた。その相手に息子が“雪辱”を果たした。「星稜だけには勝って欲しいと思っていた」と笑う和徳さん。自分の現役時代と同じサードを守る息子に「中越は競争も激しいので頑張ってほしい」とエールを送る。

「父が星稜に負けたという話は以前聞いていた。父も負けている星稜に勝たなければ選抜もないと思い、絶対に勝ちたかった」と話す小林。「中越は伝統があるが、選抜には出ていない。自分たちが選抜に出て、新しい伝統を作りたい」と25日の準決勝に向けて意気込んだ。


◎その他の準々決勝の結果◎
敦賀気比10-0小松大谷(6回コールド)
松商学園6-5金沢


◎25日の準決勝の試合予定◎
<石川県立野球場>
①敦賀気比(10:00)富山第一
②松商学園(12:30)中越

(取材・写真・文/岡田浩人)


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