第97回全国高校野球選手権・新潟大会は25日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで準決勝2試合がおこなわれ、第1試合は中越が10対3で小出にコールド勝ち、第2試合は日本文理が3対1で新潟をくだした。
中越と日本文理による決勝戦は26日13時からハードオフ・エコスタジアムでおこなわれる。中越が勝てば12年ぶり9度目、日本文理が勝てば3年連続9度目の夏の甲子園出場となる。
中越×小出 7回裏、中越が3番・小林史弥選手の中前適時打で2点勝ち越す
日本文理×新潟 8回裏、日本文理の1番・星兼太選手が勝ち越し本塁打を放つ
◎25日の準決勝の試合結果◎
①中越10-3小出(7回コールド)
小出 000 001 2 =3
中越 100 020 7 =10
→中越は3年ぶり決勝進出
(バッテリー)
小出:①庭山-②和田
中越:①上村、⑩高井-②波方
小出①庭山希投手 6回まで中越打線を4安打に抑えていた
中越の先発①上村将太投手 6回2/3を投げ被安打9、3失点の内容
1点差になったところで中越は⑩高井涼投手にスイッチ
小出は桑原雄也選手の一ゴロ失策の間に同点に追いつく
同点に追いつかれた中越だったが⑤斎藤颯主将を中心に慌てなかった
7回裏、中越は3番・小林史弥選手の適時打で2点を挙げ勝ち越し
中越は4番・波方凌選手の右越二塁打で追加点 その後一挙7点を挙げコールド勝ち
試合後、中学時代のバッテリー・中越②波方、小出①庭山の両選手が抱き合う
◇中越・本田仁哉監督の話◇
「このトーナメントが決まった時に上村は終盤の方で力を出してもらうというイメージでいた。今日は初めから(上村が先発と)決めていた。一度追いつかれる展開になったが、この夏の戦いの中でどんな場面になっても落ち着いた姿があった。そこが今日も変わらずにできたことが勝因。このチームは甲子園に辿り着いてそこでどれだけ活躍、躍動する姿を見せることができるかという目標を持ってやってきている。最後の最後まで厳しい戦いになると思うが、とにかく目標に向かって、目の前の一球、1イニング、ワンプレーに全力で臨みたい」
◇中越・上村将太投手の話◇
「この夏先発は初めて。自分が全部投げるつもりで投げた。ずっと初回をイメージしてやってきたが、失点はしなかったが3人で抑えることができなかった。5回まで0だったが、被安打が多かった。3人で抑えれば攻撃にもリズムをつなげられたと思う。甘く入った球が打たれた。(交代場面は)少し悔しかったが、春が終わってから高井と2人で引っ張っていこうとやってきたので、しっかり抑えてくれと思っていた。決勝は今までやってきたことを全部出したい」
◆小出・前山隼人監督の話◆
「悔しい。庭山はよく投げてくれた。同点に追いついた後、(選手の間で)気持ちの盛り上がりがあった。庭山はバテてはいなかったと思う。(チームは)主将がこちらが意図することを先回りして解決してくれるような、声をかけあって頼もしく成長してくれた。地域の皆さんの声援に感謝したい」
◆小出・庭山希投手の話◆
「(疲れは)正直、ずっと投げていたので肩の張りは若干あった。先制はされたがしっかり立て直せた。ただ再三走者を出されてプレッシャーをかけられていたので最後は集中力を持続できなかった。(7回裏は)落ち着いてできることをやろうとマウンドで話した。(整列時に波方選手とは?)『ナイスバッチ』と『絶対甲子園に行ってくれ』と伝えた。打たれたので悔しいが、中越と試合ができて楽しかったし、波方はこれからも活躍してくれると思う。いい試合ができてよかった。チームのまとまり、団結力は他のチームに絶対負けないという自信があるし、全員で頑張ってきてよかった。(スタンドの声は)すごく多くの人が来てくれて嬉しかったし力になった。負けたけど悔いはない。(今後は上で)できればやりたい気持ちはある」
②日本文理3-1新潟
新潟 001 000 000 =1
文理 010 000 02× =3
→日本文理が3年連続決勝進出
(バッテリー)
新潟:①諸橋-②小田
文理:①八幡、⑳藤塚-②川村
(本塁打)
文理:星(8回・ソロ)
日本文理の先発①八幡竜投手 4回1/3を投げ1失点
2回裏、日本文理が1死3塁から7番・寺杣直泰選手の犠飛で1点を先制
3回表、新潟は1死2、3塁から3番・諸橋慶多選手の遊ゴロの間に同点に追いつく
5回表、新潟が1番・サウスウィック選手の右前安打からチャンスを作る
日本文理は5回途中から2年生⑳藤塚光二郎投手をマウンドへ ピンチを凌ぐ
7回表、新潟の攻撃時に丈夫(ますらお)の大斉唱
一塁側からの大声援をバックにマウンドを守り続けた諸橋慶多投手
8回裏、打席を待つ日本文理・星兼太選手
初球の変化球をとらえた日本文理・星兼太選手 打球は右翼席へ飛び込んだ
8回裏、日本文理は1年生4番・川村啓真選手の左線適時打で追加点
試合終了、健闘を称えあう両チーム スタンドから惜しみない拍手が送られた
◇日本文理・大井道夫監督の話◇
「思っていたより打てなかった。新潟で試合をやって、ウチより(相手の)応援が多いのは初めてだった。うちの選手はまだ硬い。きょうは諸橋くんのボールの球を打たされていた。(本塁打の星は)打てなかったら代えるぞと言ったら「打ちます!」と言った。(投手は)八幡はボールが高かった。藤塚は予定通りに投げてくれた。(決勝は戦後初の3連覇がかかる試合だが)中越さんは強い。ここまできてチャンスをもらったんだから、
◇日本文理・星兼太選手の話◇
「先頭打者として早い段階で打てなくて悔しい気持ちでいっぱい
◆新潟・後藤桂太監督の話◆
「ありがとうございました(と報道陣に一礼して)。やれることは全て出し尽くした。(諸橋は)ベストピッチング。粘り強く最後までやってくれた。(打線は)もう1点、もう1本(足りなかった)。向こうの守備も崩れなかった。全てにおいて相手が上だったが、よくここまで食らいつけるチームになったなと思う。去年の秋とは全然違うチームになった。さすがの集中力と我慢ができる最高の選手たちだった。(去年夏と同じ3対1のスコアだったが)全然内容は違った。今年の選手は相当いいチームになったと思う。(スタンドの応援は)新潟高校が1つになって、準々決勝も感動したが、きょうはそれ以上で最高に嬉しかった。もう1回みんなで校歌を歌いたかったが残念」
◆新潟・諸橋慶多投手の話◆
「調子はよかった。疲れは特になかった。(7回までは)自分の持ち味である打たせて取る投球ができていた。(8回の星選手への投球は)シンカー…失投というわけではないが星選手の力がまさっていたと思う。(打たれても)最後の回があると思い、切り替えて投げようと思った。(文理打線には)力勝負ではなくタイミングをずらそうと気を付けた。(スタンドの大声援は)プレッシャーに感じた部分はあったが、それを力に替えて頑張ろうと思い、何度もスタンドを見て投げた。周りの皆さんの期待が大きかったのであと2つ勝ちたかったが残念。(9回表はネクストサークルで試合終了となったが)2番の河内選手がつないでくれると思ったので、投手だけを見て打つ気持ちでいた。(終わった瞬間は)目指してきたものが終わったんだなと頭が真っ白になった。(3年間で)辛いことが多かったが、たくさんの仲間と野球ができたことがよかった。後輩には初の甲子園出場を目指してほしい」
◎26日の決勝戦◎
<ハードオフ・エコスタジアム>
中越(13:00)日本文理
◎決勝展望◎ 文/岡田浩人
決勝戦は秋春王者の第1シードで12年ぶりの優勝を目指す中越と、戦後初の夏3連覇がかかる日本文理の対決となった。昨秋の県大会決勝と同じ対戦で、その際は5対2で中越が日本文理の県内連勝を30で止めている。ただ秋の日本文理のメンバーと今夏のメンバーは野手を中心にかなり入れ替わっていて、チーム状況も違う。
両チームとも決勝までの勝ち上がり方は安定している。全5試合で先制し、一度も相手にリードを許さず試合をモノにしてきた。そういう点でまずは「先制点」がどちらに入るかが最初の試合のポイントになる。
投手陣では、中越は背番号⑩の右腕・高井が柱となり安定した投球を見せてきた。一方の日本文理は背番号⑳の2年生右腕・藤塚が制球のいい投球でこちらも安定感抜群だった。この2人を軸にした投手陣の中、両チームの監督がどのような継投策を見せるのかが次のポイントになる。特に両監督の継投のタイミングを注視したい。
攻撃面では両チームとも打撃好調で、中越は準決勝で、日本文理は準々決勝で、それぞれ1イニングに大量得点を奪うシーンがあった。勢いに乗ると波の乗る打線は五分と五分。バントや走塁、守備のミス・・・こうしたものが試合の流れを左右する可能性がある。互いにビッグイニングを作らせないために、やはり継投のタイミングは重要である。
この2校による夏の決勝は1997年(日本文理4-2中越)、2003年(中越5-4日本文理)、2009年(日本文理12-4中越)と過去3回ある。97年は日本文理の初優勝、03年は延長戦の激闘、09年は後に甲子園準優勝の引き金になった試合として、いずれも語り継がれている。今大会の現時点でのチーム力は互角。この決勝も後世に語り継がれる名勝負になる予感がする。
(取材・撮影・文/岡田浩人 取材/松井弘恵 撮影/嶋田健一)
中越おめでとうー!
文理は強かったが、我が母校も強く惜しかった。先生も監督もお疲れ様。
感動した。甲子園は近いと実感!